第10話マドレーヌさん

 「あっ、またあいつが来た」

 カエルさんが窓の外を眺めながら言った。

 わっちは嬉しくなり扉を急いで開けた。

 「マドレーヌさん!!」

 わっちはついさっきまで作っていた巻き貝型のパンを持ってマドレーヌさんの元に駆けつけた。

 白馬にのって髪をたてロールにし、ピラピラの飾りがついてるピンクのフリフリのドレス、かわゆい女の子じゃ。

 「いつも間抜けな顔をしてるわね、それにこの牧場もいつ見ても汚いわね」

 わっちはえへへと笑った。

 「今日もイヤミを言いに来たわよ」

 馬の上からわっちの事を見ている。

 その動作がなんとも言えぬ。

 カエルさんは見下していると言うが、そんな事はないとおもうがのぅ?

 ヒヒーンとマドレーヌさんの馬のポチがわっちに甘えて頭をスリスリしてきた。

 「ポチは可愛いのぅ」

 マドレーヌさんは「なっ」っと言って叫んだ。

 「ポチじゃないわよ、ポティーヌよ!」

 わっちはポチをなでなでしながら言った。

 「ポチの方が可愛いぞ。ところで今日はなにしに来たのじゃ?」

 マドレーヌさんは髪をさっと手で払いこう言ったり

 「さっきも言ったでしょ? イヤミを言いに来たのよ」

 わっちは嬉しくなり跳び跳ねた。

 「ありがとう」

 マドレーヌさんは眉と眉の間にしわを作った。

 「なんで、お礼を言うのよ」

 「だって、イヤミ言ってくれる為にここに来てくれたのでしょ?」

 家の中からカエルさんの笑い声が響いた。

 「誰かいるの?」

 マドレーヌさんが言った。

 焦った。

 「いっいえカエルさんなんていないよ」

 マドレーヌさんは困惑した表情をした。

 「あっ、そうだ、巻き貝型のパンを焼いたのじゃ、おすそわけじゃ。これ、マドレーヌさんの髪型に似てませんか?」

マドレーヌさんはキッーっと歯を見せて言った。

 お猿さんの真似じゃろうか?

 「似てないわよ、それにそんなのいらない」

 「えっ? こんなに言い匂いがするのに?チョコもたっぷり入っておるのじゃが」

 マドレーヌさん鼻をひくひくさせておるぞ。

 「その点エミの巻き貝型のパンはスゲーな」

 カエルさんがからかうように家の中から叫んだ。

 もうひとおし。

 ホワーと甘い匂いのパンをマドレーヌさんの鼻に近づける。

 うっうっとマドレーヌさんがよだれをたらしている。

手をのばそうとしたマドレーヌさんからパンを遠ざけ、わっちはこう言った。

 「わっちの友達になってくれるかのぅ?」

 うっとうなったマドレーヌさん。

 マドレーヌさん、友達にする作戦大成功。

 マドレーヌさんは、巻き貝型パンを細い方から食べてモグモグさせた。

 「いい? 友達になってあげるからこのパン毎日作ってよ」

 うんっとわっちは頷いた。

 ポチにまたがってマドレーヌさんは遠くに行った。

 その後からマドレーヌさんの執事のヒゲジイが茶色の馬にのってやって来た。

 「お嬢様のお友達になってくれてありがとうございます」

 「いいえ、わっちはずっとマドレーヌさんとお友達になりたかったのじゃ。この牧場を直すのを手伝ってくれた一人じゃから」

 ヒゲジイはくしゃくしゃな笑顔を見せた。

 後からヒゲジイに聞いたらマドレーヌさんはお友達ができたとベッドの上をピョンピョン飛んだらしい。

 やはりマドレーヌさんはいい人じゃ、またかわゆいの女の子のお友達ができたぞい。

 


 

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