第3話リアーネの攻撃

 この村長は軍に所属していた。

 しかし、なにか失敗してテディベアにされてこの村の村長として今は生きている。

 リアーネは面白そうに村長を見下した。

 「おぉ、そなたか、ずいぶんアホな姿になったものじゃのぅ」

  リアーネは怪しくそれも蛇のように舌をペロッとなめて笑った。

 「だがのぅ、そちの顔も見飽きたのじゃ、消えてもらうよ」

 村長はモフモフの首をこきこきならしながらかえした。

 「この体になってから身軽になったよ、それに私の魔力も力が衰えているとはいえ、あなたを倒す力はまだ残っているよ」

 村長さんは崩れた鎧を見つめながら言った。

 「三人でかかられたらやられてたかもね」

 村長さんは今やつぶらな瞳になっている目をリアーネに向けた。

 「墓穴をほったな」

 リアーネはどんどん顔が赤くなっていく、怒っているようだ。

 「血色の騎士!! 小生を誰だと……」

 村長は目にも止まらぬ速さでリアーネの懐に飛び込んだ。

 「その呼び名は捨てた、去れ!」

 村長が右手を空中にあげるとメラメラと炎が現れる。

 「ファイヤーストライク!!!!!」

 まるっこい手をリアーネに向けると村長は叫んだ、そして炎をリアーネに飛ばす。

 「ヘルファイヤー!!!!」

 リアーネのの手からも青く怪しい炎が燃え上がる。

 炎と炎のぶつかりあい、暗い闇を明るくした。

 わいとカエルさんはあんぐりと口を開けてその様子を見ていた。

 村長さんこんなに強かったなんて、優しい村長さんが豹変している。

 テディベアになってるせいか表情は変わらない、それがまた恐ろしく感じる。

 「ぐぬぅ、ちょこざいな! 裏切り者のくせに、こうなればこの牧場ごと消し去ってくれる、くらえ! デス・クリムゾン!!!」

 リアーネが両手を広げて大魔法を放とうとした、刹那、ピョーンと何かが飛んだ。

 あっ、カエルさん。

 カエルさんはリアーネの顔にべちょっとはりついた。

 「何をする! むぅ、前が見えぬ」

 じたばたするリアーネに必死につかまっている。

 「このゲスがぁ!」

 リアーネはカエルさんを引き離そうと手を顔に持っていく。

 デス・クリムゾンの塊がわいの牧場に向かってズズズとゆっくり降りていく。

 「わいの牧場!」

 思わず叫んだ、せっかく村長さんにもらった牧場。

 ボロボロだったけど頑張って綺麗にして牛さんやニワトリさんだって育てたのに。

 涙が溢れてきた、悔しくてふるえる。

 カエルさんが、わいの方を見て叫んだ。

 「おめぇの牧場だろ!? みすみす壊されていいのか!?」

 カエルさんの言葉にわいははっとした。

 わいの牛のモウちゃん、馬のヒヒンちゃん、ニワトリのコケちゃん。

 お野菜さん達。

 守らなきゃ!

 わいはたったったっとリアーネの方に走って行き、目の前で止まった。

 「姉上、わいが相手になります」

 「なっ!?」

 忘れかけていた悪魔の力。

 わいの体にたまってくる感じがする。

 リアーネは動揺している。

 「ええぃこの状況じゃ不利じゃ、だがデス・クリムゾンの破壊玉は残っている、こいつを置き土産に今日の所は退却してやる」

 リアーネはカエルさんをつかんで投げた。

 デス・クリムゾンの大きな黒い玉を牧場に投げつけてリアーネは消えた。

 「ダメぇーーーーーー!!!」

 わいが叫ぶと同時に村長さんが脅威のジャンプ力により黒魔法デス・クリムゾンの丸い塊を素手で半分にかちわった。

 しかし、その欠片が牧場を破壊させた。

 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る