我が家では。2

結局、私が驚いて声を上げた時にかかってきた電話はテレビを見たさなえちゃんからで、その後さなえちゃんは車をかっ飛ばしてきて、お義母さんとさなえちゃんと、奥の家の奥さんと何故かその旦那さん(自営業)と一緒にテレビに張り付いている。お義母さんと奥さん、晩御飯の支度放棄。


只今、その尻拭いを嫁の私がやらせて頂いております。


お義父さんは、あっちゃんとお風呂に入ってて、今3人が騒いでる事件には興味はないらしい。お義父さんは、「小松さんとこの爺ちゃん、またやったんか…」と呟いてはいたけど。


「ただい…「しっ!今いいとこ!」

夜6時、旦那の健太が帰宅。お義母さんに静かにするように咎められた健太は、またやってるんか…と言いたげな顔をして、私の所へきた。

「おかえり、早かったね」私もなんだか健太が不憫になって声をかけると、「昼間の小松さんとこの爺ちゃんが事故起こしてひいてしまった人て、函館で起きた犯人やったっちゃね」と健太の耳にも入っていたようで。

「そうみたいね、何かさっきも警察の車通ってったよ、何台か」

「事故起きたんこの近くやしね、今日いつも通る道通られんくて、四方向から車きて、何回も迂回してやっと家につけたんや。途中事故現場通ったけど、テレビの人何人もおってな、軽トラも田んぼに落ちかけとったが」

「へぇー。こんなに近くなのに、何の音も聞こえなかったけどね」

そういえば、なんで後ろの家の奥さんは小松さんとこのお爺さんが事故起こして、それが函館の事件の犯人だった、ってどこで知ったんだろう。と、ふと私の中で疑問が出てきた。


夕飯のカレーの具材を煮込んでる間になんだか最近疲れやすくなってきたなぁ、、とぼーっとしてると、「はるちゃん!はるちゃん!」とお義母さんに呼ばれた。

「はい?」また新展開かと思いお義母さんの方を振り返ると、お義母さんの目線は、私の前にある鍋に向かっていた。

「鍋!鍋!焦げとっちゃ!」

「えっ!あっ!いやー!カレー!」

私は慌ててお義母さんから鍋に目をやると、鍋は吹きこぼれ、焦げ臭い匂いを発していた。

「あーあ、カレーが…」と私が落ち込んでいると、「何やっとっちゃが、みんなして」と、お風呂上がりのお義父さんとあっちゃんがホカホカして立っていた。


結局この日、カレーをだめにしてしまったので、お義父さんがこんな日もあるさと近所の中華屋さんから出前をとってくれ、我が家の5人とさなえちゃん、後ろの家の奥さんとその旦那さんと晩御飯を食べて、年長者たちは今日の事件についてお酒を飲んで盛り上がっていた。

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