3#行徳湿地の風船

 ぎゃあ!!ぎゃあ!!ぎゃあ!!ぎゃあ!!


 があ!!があ!!があ!!があ!!


 ぴゅー!!ぴゅー!!ぴゅー!!ぴゅー!!


 ぐえー!!ぐえー!!ぐえー!!ぐえー!!



 「結局、私の産まれ故郷に来ちゃったわ!」


 カワウのクロエは、カモメやカモやオオバンやサギ、カワウが舞い飛ぶ行徳湿地・・・行徳野鳥保護区の片隅の鉄棒を組んで作られた、カワウのコロニーを懐かしげに見詰めた。


 「しっかし、ダイゼンの奴。何処へ行っちゃたのかな?」


 アオサギのアオタは、キョロキョロと湿地の付近を見渡した。


 「うわーーーーっ!!なにこれ?!」


 コサギのベイリが、翼で指差した先には・・・




 「なんじゃーーーこりゃーーー!!」




 ぎゃあ!!ぎゃあ!!ぎゃあ!!ぎゃあ!!ぴゅー!!ぴゅー!!ぴゅー!!ぴゅー!!ぴゅー!!があ!!があ!!があ!!があ!!があ!!があ!!があ!!ぐえー!!ぐえー!!ぐえー!!ぐえー!!ぐえー!!ぐえー!!ぐえー!!



 湿地の鳥達は、寄って集って緑色の風船の取り合いをしていたのだ。



 「あらら・・・風船がこんなに萎んじゃったじゃん。」


 カワウのクロエは、たまらず水鳥の群れに突っ込んでいた。


 「見ちゃいられない!!」「僕も!!」


 アオサギとコサギも着いていった。



 その時だった。



 ぷしゅーーーー!!



 何かの拍子で栓が抜けた風船が、ロケットのように吹っ飛び、その風船の吹き口をたまたま、カワウのクロエの嘴がキャッチした。




 ぷぅ~~~~!!


 ぷぅ~~~~!!


 ぷぅ~~~~!!



 衝動的に、カワウのクロエは緑色の風船に頬袋をはらませて息を吹き込んで膨らませた。


 「わーーーー!!」


 「割れるーーー!!」


 鳥達があわてふためいた。




 ぱぁん!!




 「ぎょっ!!」


 「割れちゃった!!」




 割れた緑色の風船の吹き口をくわえたままのカワウのクロエは、きょとんとして辺りの水鳥達を見渡した。




 「いえーーーい!!」


 「ひゃっほーーーーー!!」




 水鳥達は、一斉に歓声をあげた。




 「ど、どうしたの?!皆?」


 「風船が割れちゃったから、ビックリしてるんじゃね?」


 「いや違うね。ほら。」


 アオサギとコサギが指している先には、カワウのクロエの家族が、立っていた。


 「久しぶりだねえクロエ。ようこそ故郷へ。」


 「パパ、ママ・・・」

 



 ~湾岸ベイ!水鳥風船騒動記~


 ~fin~





 




 

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湾岸ベイ!水鳥風船騒動記 アほリ @ahori1970

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