第169話 抗がん剤と民間療法
ガンだと分かる前の入院時、暇だった私は携帯の電子書籍で『ブラックジャックによろしく』を読んでいました。
内容を知っている方なら、入院時に読むマンガとしてはふさわしくないと思うことでしょう。
このマンガの中には、ガン患者がクローズアップされるシリーズがあります。
主に二人のすい臓がん患者が出てきて、一人は抗がん剤を使わずに穏やかに過ごす女性。
もう一人は抗がん剤治療をしながら、どんどん弱っていく女性です。
私はこれを読んだ時、まだ自分がその時ガンだと分かっていなかったけれど、もし自分がガンになったのなら、抗がん剤は使いたくないと思いました。
だって抗がん剤を使わない女性は、末期なのに綺麗に穏やかに生活の質も落とすことなく過ごしているのに対して、抗がん剤を使った女性は苦しみ、どんどん体調が悪くなっていくのです。
けれど二人とも治るわけじゃないんです。
だったら苦しまない方がいいじゃないですか。
抗がん剤は種類がとても多く、ガンによっても使うものが違ってきます。
けれどこの本を読んだ時はそこまで知りません。
テレビや映画などからの情報でも、抗がん剤は辛くて苦しいものなんだと思っていました。
その上ネットでよく見かける情報では、抗がん剤は毒だ、やったら死期を早めるというものがわんさかあります。
ブラックジャックによろしくが悪いわけではないですが、抗がん剤が怖いものだと私はその時強く認識しました。
その1ヶ月後ぐらいに、子宮体癌だと分かります。
まだ最初の診断時は手術だけで、抗がん剤治療は私の治療の予定にありませんでした。
けれど自分がガンだと分かった私は、怖さを和らげるためにも色々と情報を集めて勉強をしました。
そこで、強烈に『抗がん剤は怖いもの』と思っていた気持ちが変わる事になります。
抗がん剤治療をした事によって、ガンを克服した人の話や情報もたくさん読んだからです。
その逆に、抗がん剤より民間療法を重要視して亡くなってしまった人の情報もいくつも読みました。
あれ?意外に抗がん剤って悪くないんじゃないか?
そう思い始めてきました。
そんな私が、手術の1ヶ月後に抗がん剤をする事になります。
『抗がん剤=悪』
とはもう思っていなかった私ですが、それでも怖かったです。
怖くて怖くて、不安で不安で、そんな私の気持ちが少し和らいだのは抗がん剤前日に受けた薬剤師さんからの説明でした。
「抗がん剤の後の体調不良は人により違いますが大抵は『二日酔い』みたいなものです」
とそう聞いて、少し意外でした。
二日酔い?そんなものなの?と。
そしていよいよ実際に抗がん剤をやってみると、ドラマやマンガで見るような酷い吐き気もなく、本当に二日酔いのような感じで済みました。
まぁこれに関しては個人差があるでしょうが。
昔のテレビドラマのような恐ろしい吐き気がこないのは、良い副作用を抑える薬が出来てそれを抗がん剤前に飲むようになったからのようでした。
自分が抗がん剤治療をしたからこそ知りました、抗がん剤治療も進んでいるんだと。
ちゃんと副作用を抑える薬だって出来ていたんだと。
こうやって自分自身が抗がん剤治療を体験してみて、更に私は抗がん剤=悪という考えをなくしました。
むしろネットに転がっている、抗がん剤=悪、それよりも民間療法という意見こそ怖くなり始めました。
そんな矢先に、某有名な方が抗がん剤治療よりも民間療法を優先して、そのために命を落としたというような記事を読みました。
この記事の全てが本当かどうかは分かりませんが、この記事以外にも似たような噂は耳にしていたので私は更に民間療法の胡散臭さを感じるようになりました。
人それぞれ考えがありますし、私の意見が正しいとは言い切りません。
ですがそういった経緯があり私は個人的に抗がん剤より、民間療法だけに頼る方が支持できないのです。
という事が今回書きたかったのです。
またこの事については書いてみたいと思います。
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