第155話 生理が無くなって(精神的編)

 子どもを産めなかった私にとって、子宮とは、そして生理とは何だったのかと思う。

 とはいえ、本屋で『子宮をあたためる』系とか『女性の幸せと子宮』系の本を見かけると、私にはもう関係ないんだと悲しくというか寂しくなる事もある。


「子宮のなくなった私は女としてもう幸せになれないのか!」


 悲劇のヒロインぶるわけではないが、これぐらいの事は術後何度となく思った。


 生理も子宮も女にとって、女らしさや男性から求められるためのものと思ってしまう呪縛のようなものなのかもしれない。


 だから無くなると不安になる。

 まだ愛される価値があるのだろうかと怖くなる。


 子宮が無くなる事で外見の女らしさが無くならないのは、身近な先輩の経験から無いと分かっていたので不安は無かった。


 だけど人から「女」として見られないのではないかという不安はある。


 抗がん剤をやった事で、顔にかなりのシミが出来たし体重も増えた。


 生理が無くなって長年の苦しんできたPMSから解放されたかと思ったが、今度は更年期というか卵巣欠乏症の影響か、精神的な波や落ち込みイラつきは前以上かもしれない。


 毎月のナプキンは楽になったが、精神的な方では楽などころか辛い時もある。

 まぁこれは気の持ちようのところもあるので、夫婦仲が上手く行っている時や楽しい事が続いた時には忘れられるんだけどね。


 生理が無くなって一番辛いのは、もう子どもが授かれないという事かもしれない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る