第59話 ガンであることを隠さないタイプ

ガン患者さんのブログを読んでいると

ガンであることを知られたくない、あえて話さない。

という人が多い。


けれど私は逆で、言いまくりたいというか周りに知ってもらいたいタイプなのだ。


何故かというと楽だから。


会社を休む理由も、最近、馴染みの場所に行かない理由も

何らかの理由で「どうして?」を問われる時に


嘘をついたり誤魔化したりしないで

「ガンになっちゃってね」

だけで伝わるのが楽チンだからだ。


隠している人はもちろん悪くないし、そのために嘘というか

お茶を濁すこともあるだろう、それだって良くありそうなことだ。


それが私は面倒で、そして何より知られる事に嫌な思いが無いから

ガンガン、言ってしまうだけなのだ。


言われた相手はどんな対応していいかわからなくて困る事もあるだろう。

けれどガンになったからこそ、ごめんなさい、自分の楽さの方を取らせてもらった。


私がガンだからって気を使わなくていいから。

遠回しに私の様子を伺わないで。

今まで通りでいいんだから。


だからこそ

「私、マツエクしたんだよね」

ぐらいの感覚でカミングアウトしたい。


なんなら知り合い同士で話題にしてくれたっていい。

憶測で噂話が広がる方が嫌な感じだ。公認の噂話なら気にしてもらえてるようで

何となく嬉しい。(私って人気者?みたいな)


次に会った時に「聞いたよー、ガンなんだってね」

と軽い感じに話しかけてくれたら最高だ。


私が説明する手間が省けるし、お互いどこまで触れないで接しようかと

感覚や距離感を図るのも今までの空気感がおかしくなりそうで嫌なのだ。


私も深刻にしないから、みんなも深刻にしないでよ。

けれど体調悪い時は事情分かってね、というちょっぴり勝手な思いもあるのだ。


後はね、話しちゃうと精神的に重い荷物を下ろせたみたいになるし

孤独感も減るんだよ。


だから私はガンであることを言いまくりたいタイプなのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る