第3話 救急車
中々トイレから戻ってこない私を心配して、夫がトイレの方にやってきた。
私はトイレの前に座り込んだまま痛みで動けない。
そんな私に色々察したのか夫は
「救急車呼ぶ?」
と聞いてきた。
私が救急車に乗るのは二度目の事。
一度目は二年ほど前に尿路結石による腹痛でだった。
あの時も私はかなり痛がっていた。
けれど私がかなり痛がっていても、まさか救急車が必要なほどとは思わなかったのか夫は痛みが楽になる呼吸法を一生懸命私に教えようとしていた。
夫が非情なわけではなく、盲腸ならまだしも腹痛で救急車が必要とは若い世代の私たちだからこそそういう発想が無かったのだと思う。
だけど正直私は呼吸法どころじゃなくて
「ねぇ、これ絶対何か大変な病気だよ、病院行った方がよくない?」
と思っていた。
でもそれを自分から言うのは大袈裟な気がして、ただひたすらに痛みに耐えて苦しんでいた。
その時の事があったので、夫は今度も私が病院に行く必要があるほどに痛みが酷い事を分かってくれたようだった。
そしてこの日は日曜日。しかも夜。
自家用車で病院を巡るあてもなく、とくかく助けてという思いで救急車を呼んでもらったのだ。
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