シリアスなんてありえない

この街の人々は、ほのぼのとした事を愛す。


私もその一人だ。


さて、昔から怖がりなせいで散々怖がらせられてきたせいだろう、私と弟は順調に病に掛かったが、何、今日も図書館へ行き、弟がアホなことをするのでしばきながら本を借りていたが、どこにも悪い人などおらなかった。


むしろ、なんと言えばいいだろう。あの愛嬌のある調子乗り達を。


確かに少しの意地悪はあるかもしれない。しかし、皆暖かな目で見てくれているとよく分かる道のりだった。


私は弟に絡んだ奴に、「ざーこ!」と悪口を言い逃げして、ファイティングポーズを取っている弟に「あんた、この街人間何人いると思ってんの、いちいち相手してたら、身が持たんがな!三十六景逃げるにしかず!」とまた教えた。


その後、魚屋さんがくれた串揚げを昼に食べ、大阪のいとこ達がくれた高級クッキーを一つ食べてから「美味しいやん」と思い、二階に上がって信長の野望をしている父の手元から無断で一番大きなクッキーを取って食べた。


「何すんねんお前ー、取るなや!」


父はおちょけて怒った。私は無視してその後も奪い続けた。父は「あかーん、食べるな!」と言ってクッキーを守り、私はネットでおう松さんを検索し、ショートフィルムを見て第五話の雑談で和んだ。


その後たい焼きを買いに行こうと思い、弟に声を掛けると「行くー」と言うので連れ出し、祖母と母にお伺いを立てると、「今日は広小路で出店があるよ」と祖母。

「お婆ちゃんは一つで良いからね」と言われながら、母に小遣いをもらって出かけた。


色々とあったが、どれも田舎らしくほのぼの〜としていた。

キャラメルフラペチーノが飲めそうな店で仮面ライダーに出会い、「凄いなこれ」と見ていると、子供連れが来て仮面ライダーはポーズを取っていた。

カップルだった。

「俺のほうが背も高いし凄い」と弟が言うので、「いっそ究極にかっこよくなれ」と言っておいた。


さて、目的のたいやき屋につき、大判焼きが安かったのでズルしようとしたら売り切れとのこと。

しきりにクロワッサンたい焼きを勧められたが、とりあえず普通のたいやきを買った。


弟と歩きながら食べる。

映画館に入り、映画を見ようとしたが、弟がダウン、K・O。


タバコを吸いながら「先帰って」と言われ、またたいやき屋に現れて今度こそクロワッサンたいやきを買った。


弟が先を行く。


止まる信号機、色は赤。


こんな風に足止め食らっちゃ、追いつけないなと思った。

弟は先に行く。

おじさんが犬の小屋を水で洗っていて、ホースから出る水から犬がちゃんと逃げて棚に登っていた。

おじさんと目があったが素通りしたのがいかにもほのぼのしている。


帰って皆にたいやき配って回り、弟が帰ってきて、「またたいやきか〜」とたいやき地獄みたいに言った。


私も食べたが、美味しかった。


今日は日曜日だ。


父に今日行きしに犬が三匹居て、黒いのが吠えたら白いのが乗っかってマーキングしていたことを言ったが、「ふーん、それが?」と急に冷静な返事をして釣れないので「なんやん」と怒り、父は信長の野望をしていた。


母が上がってきて、「結局動かんかったなあんた」と信長の野望ばかりしている父を見て嘆いた。


日々は安穏と過ぎていく。


そんな日曜日。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る