こまどり三姉妹ならぬ、ベスト三姉妹

私たちはある日、来る正月に向けて、来客を迎えるべくカーペットを敷き直していた。

分厚い布団を敷き、皆が寝転べる体制を整える。


すると「待って、私確認する」といの一番、こたつの真ん中に座る祖母。

私はそれを見て、「あ、韓ドラの王様だ!チューナーだ、チューナー」と言って手を床に着いてお辞儀した。

祖母も母も笑い、私は「あ、マーマーの方だ、マーマー」と言って再度お辞儀したら、「もう良いー」と祖母が笑って嫌がった。


さて、私達この家の女は、こまどり三姉妹ならぬ、ベスト三姉妹だ。

祖母はユニクロのブルーのベストを裏返しに着るし、母はファッショナブルなベストを颯爽と着ている。私は三年前祖母にユニクロで買ってもらった緑のベストを作業着のように普通に着ている。


居間に三人揃って韓ドラを観ていると、ベスト三姉妹揃いました、という感じがする。皆ほのぼのとテレビを観ている。


ここに幸せ自慢をして悪いが、それをしなけりゃ面白く無いかなと思いまして。


私は昨日の喧嘩の仲直りをするべく、コーヒーを買ってきて、皆で飲んだ。

ほんわかと美味しいローソンのコーヒー。高級な味がする。

イエローなんとかだかいう豆に変わったそうな。


韓ドラのいいところは、人間の面白みをもろに出してるところだ。隠さないし、気取らない。高級志向?なんじゃそら、という感じで、人生で大切なのは教養だ、人情だと教えてくれる。


苦労する登場人物が出るたびに、私たちはその人が如何にコメディエンヌであるか見て笑い、苦労に同情し、美味しいものを食べるのを見てお腹を空かす。


別に、韓国びいきなわけじゃない。

ただで見られるお金の掛からないエンタメなのだ。これが私達親子を繋ぐ、希望の橋だ。


犬も大人しい。


私は弟にお茶を新しく淹れてやりながら、一人ぼっちになっても、温かで居て欲しいと思った。

そこにはお茶を一杯、淹れる余裕があればいい。


お茶の時間とは大切なのだ。


沢山語り合い、一緒にいることで余裕と優しさが生まれる。

一人でいるって、案外贅沢なことなのかもな、とチラと思ったりした。

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