第3話 家その1

ああ…。

家の中とは、どうしてこんなにあたたかいのだろう。

「今お茶入れてあげるね!紅茶とカフェオレどっちがいい?」

「紅茶でお願いします。」


親友の家に保護され、ひと息つく頃、私はそのぬくもりにまどろんでいた。


親友の家は、なんだか不思議な感じがした。ダイニングと思われる部屋に壁は一ヶ所しか見当たらなく、あとはすべて硝子戸などで仕切られており、まるで小部屋がたくさんあるという感じだ。


気づいたらコタツの部屋に通されていた。

コタツの部屋は、これぞ日本人形!というような見本とも言えるおかっぱの人形がいて、硝子ケースを縄張りとし、その長方体の空間を支配していた。

「あ。これ?これ髪が伸びてくるんだよね。」

目を合わせないようにしよう。


親友はパソコンを持ち出し洋画を見始めた。

私は自分の家とは違う家の雰囲気に馴染めることなく、ただひたすらにこの家の暖かさだけ噛み締めていた。

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