第15話 女狐の正体

……久しぶりだな。慶成。

そう語りかけるイリシスの目は慶成にもその意味を感じ取らせた。


「政権戦争以来か。かれこれ20年振りくらいかな。」

「・・・そうだな。あの惨劇から、もう20年経つんだな・・・」


2人はかつての自分達を思い出すかのように話だした。

20年前に出会っていた2人。しかし

その出会いは運命とも言えず

決して良いものではなかった。

かつてあった”戦争”

そこであった”惨劇”

2人には特別な意味があり、同時に忘れるわけにはいかないことでもあった。


「・・・屋敷に入りましょうか」


恵奈は暇だったのか屋敷の敷地内に入ることにした。それに続くように結衣、奈々も敷地内に入って行った。

イリシスと慶成はそれに気づくことなく話を続けている。


敷地内は広く、池・庭園・竹林・鹿威しなど日本庭園を全て詰め込んだような、そんな感じだった。


「さすが広いわね・・・うちと同じくらいあるんじゃない・・・?」

「だねー。・・・敷地内に竹林とは・・・」

「カコーン・・・( °_°)ぉう」


3人が散策を続けて居ると

目の前に屋敷から少し離れた位置にある建物に辿り着いた。

見た目は屋敷自体と変わりはないが

人の気配が薄かった。

恵奈達は、その建物に近づいていった。


「誰も・・・いないの?」

「でも戸が空いてるよ?」


結衣の言うとおり

人の気配こそしないが、縁側の戸は解放されていた。

興味と好奇心からか、

恵奈がその縁側に近づこうとした


その時ーーー


リンッ・・・・・・


鋼の鋭い音が辺りに響く。

恵奈は足元を見た。

するとそこにはかなり薄く作られた刀が地面に刺さっていた。


「嘘・・・いつの間に・・・!?」


恵奈が刀に目を奪われているその時

結衣は屋敷の屋根に立っている少女の姿を見逃さなかった。

白い和装に刀、腰に下げられた白銀の懐中時計。大正時代の文明少女の様な姿の少女は恵奈達を見下ろし


「怨罪の楔、我が手で断ち切る!」


その建物の屋根から飛び降りたのだった。


to be countinue...

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