第14話 方月の刃

車で移動したイリシス達は

山口県にある大手薬品メーカーや広島県の有名自動車メーカーと業務商談を行い、次の目的地である京都・祇園へと向かった。


祇園には工廠はないが

イリシスは”会うべき人物が居る”と言って祇園を目指していた。

それは日本政府との裏の繋がりを持ち、少なからずメルバート家に強力な後押しをくれるといわれる名家・・・



「・ω・暇だわ」

「なんで車で移動するのかしら・・・」

「エクナー、暇ー」

とにかく車内が暇な恵奈達はどうにか暇を潰すのに必死だった。

高速を使っても長時間の移動。

大人でも辛い

しばらく騒いでいた恵奈達は疲れたのか眠ってしまった。

車で山口県から京都府まで約6時間

ようやく京都府祇園までたどり着いた。

車を降りた一行は

目的地まで徒歩で移動する。

広い京都の街、小さな路地まで含めると、幾百もの道が繋がっている。

一つ二つ路地を通り抜けた頃、

目の前に巨大な門が現れた。

立派な構えと圧倒的存在感。

それは周囲とは全てが桁違いの存在であり、

恵奈や結衣は圧倒されていた。


「大きな門ね・・・」

「これは・・・もしかして・・・」


結衣はこの門に見覚えがあった。

かつて書庫塔で読んだ”女狐(マガツ)異紀伝”と呼ばれる本にもこの門の写真が載っていたのだ。

イリシスは携帯を取り出すと何処かへ電話し始めた。

電話をし終えた途端

遠くから車の音が聞こえてきた。

独特のエンジン音はイリシスには誰の車なのかハッキリ判別させる材料になった。


「・・・この音・・・慶成の車だな。まだハチロクに乗っていたとは。」


目の前に現れた車は一昔前のスポーツカーだった。

車からおりてきた男はイリシスと同じくらいの年で、顔にも傷がある。

そして何より和装だった。

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