第9話 FATE (エクナ視点)
ステラが戻ってきた頃には
既に日が暮れていた。
司上 修が永天の製作者という話を聞いた時は正直驚いた。私も実物は見たことないのだけど、あれだけの劇物を作り出した人間が何故被検体研究に協力しているのか。私にはわからなかった。
相変わらずステラは上機嫌で私に付いてくる。・・・この子も今思えば被検体。いつかは人として扱われなくなる。悲しい現実だけど、これを指揮しているのは私の父親”イリシス・メルバート”。止めたくても止められない・・・
「修観測官、ニュークス教授、今日はご苦労だった。我々も彼女達が安心して生活できる世界になるよう、最善を尽くさせてもらう。」
父は司上 修、ニュークスにそう告げると白塗りのクラウンに乗り込んで
私と共に屋敷への帰路についた。
日本から1500km南東に位置する
マグナルス連邦共和国。
人口1億9270万人の生活を支える
この国の大柱が我が家であり
世界有数企業の
”mlbe.industrial”である。
日本企業名:株式会社 沢嶋Jホールディングス
と呼ばれる我が社は
建設業、製造業、食品、衣類、自動車産業とほぼ全てのジャンルを受け持っている。
私の乗ったクラウンが走るこの高速道路も我が社の造ったもの。そしてここから見える海に浮かぶタンカーも我が社の製品。
この国が全てを握っていると言ってもいい。国民の絶対的信頼を持つ我が社がまさか
”被検体研究”に加担しているとは
私達以外誰も知らない。そしてそれがするどき牙となって私達に襲いかかることを理解するのに
そう時間はかからなかった。
(次回からは通常視点。)
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