第8話 真実

「永天って・・・あの・・・」


ニュークスは落ち着きを取り戻しながら修に問いかける。


「・・・不確定成長抑制麻酔・・・永天。脳の成長に関する機関、細胞からの成長ホルモンの発生を抑制。最大で70年分の成長、老化を抑制できるんだ。」


修は諦めたように白状した。

永天・・・DX事件以来その名を聞いたものは居ない魅惑の麻酔。

その開発代償は、1万45人の死刑囚・・・いや実験台によって作られた禁忌の麻酔である。それを彼が・・・


「なぜ貴方がそれを・・・まさか貴方が製作者!?」


再びニュークスは驚いたように言った。しかし修は動じずに続けた。


「永天は私が20歳の頃に作り出した麻酔です。適合しなければ死ぬ。ある意味自殺薬です。しかし適合すれば・・・人類の夢は果たされる・・・永遠の若さが・・・」


修は計測場から戻ってきたステラを見ると話を中断した。


「この話はステラには内緒です。バレるわけにはいきませんから。・・・私が80歳だということは。」


と皆に言った。

ステラはそんな事は知らず、笑顔でエクナ達の元へ走ってくる。


「エクナ!私、頑張ったよ!ステラは強いの!試験官にも褒められたんだ!」


ステラは笑顔でそう言った。


「そう。良かったわね。貴女ならきっと、いい女性になるわ。」


ステラにとっては知らない方が幸せな事が多い。恐らく自分が生まれた理由すら知るべきではないだろう。

”願わぬ姿”で生まれた彼女らは

死ぬまでその呪縛から逃れることは出来ない。


司上 修


彼が全てを作り出した。

彼女達は何故作られたの?

誰のため?理由を求めるのもバカらしくなる程、世界は黒く濁っていた。

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