第3話 アイソール

「エクナ・・・時間だ。支度しなさい。」


イリシスは屋敷の中庭で木製の槍を振り回す少女に声をかけた。

見た目からしてまだ幼いーーーーー

いや、実際幼いのだろう。12歳くらいの女の子だった。名は エクナ。


「はい。お父様・・・」


少女は鋭い目つきを消し、笑顔を見せた


「姉さん、これ!」


声のする方へ少女が振り向くと、

小さなバッグが宙を舞っていた。


「着替え!いっつも忘れてるんだから!」


窓から叫んでいるのは

エクナの妹。名を ニーナ という。


「余計なお世話よ!ありがとう。」


エクナはバッグを掴み、返事をすると父の背中を追って走って行った。

向かう場所はただひとつ。


ーーーー帝国院遺伝子研究所


「ロールアウト、シークエンス開始。機密隔壁閉鎖。ニュートロンスタビライザー70%でホールド」

「被検体番号‐07117。正常にパージされました。作業班は速やかに退避せよ。」


イリシスとエクナが施設へ到着した丁度同時刻に、1体の被検体がロールアウトされた。


エクナの目に映ったのは蓋の空いたカプセルと、エクナより少し年上・・・いやほぼ同世代に見える少女だった。腰まで伸びた銀色の長髪・・・体系はモデル級のスタイル。瞳は蒼く、透き通っている。頭には何故か猫の耳の様に尖った髪が2カ所に在った。


「お父様、あれは?」


エクナは少女が気になるようだ


「エクナ、アレが今日の仕事だ。」


イリシスはそう言うとエクナを連れ、エレベーターに乗った。

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