#19 Wake Up
あれ…何だ?
なんだか、妙に額が涼しい。
そして、詰まった鼻孔を通り抜ける冷たい香りがある。
すごく、気持ちがいい。
でも、周りが騒がしいな。
せっかくの気分が台無しだ。
何だよ全く。誰だよ?
ゆっくりと視界が開け、意識と共に明瞭になっていく。
まず目に飛び込んできたのは揺れている白銀の長い髪。
流れる砂漠の海を連想させるシルクのビロード。
続いて月の様に蒼い目が、僕を心配そうに覗き込んでいる。
不思議な月面の引力に惹かれたのか、僕は瞳を逸らすことが出来ない。
あれ? 君は?
以前、何処かでお会いしましたか?
覚束ない記憶の波が怒涛に押し寄せてくる。
遠く離れた星と星とが繋がって、恣意的な星座を作るように。
過去の
そうだ。君は…、あの時聞いた君の名前は―――
「シャーロット?」
僕の目の前にいる少女はあの日あの時のままの姿。
間違い無く、僕達が五年前に出会って別れた、異国の空気を持つ少女だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます