第11話 魔王軍結成?
「……まぁ、変わり者たちの集まり故に、飽きることはない――はずだ」
黒コゲになって倒れ伏せているプリアの背中に、アルバートは腰を下ろし、ここにいる魔物は阿呆ばかりだぞ?と、どこか試すような、それでいて、答えはわかりきっているかのような強い視線を投げてきた。
少女は首を一度縦に振ると、ガラン、プリア、その他の魔物、そしてアルバートを指差し、大きく息を吸った。
侵略も災いも、楽しくやらなくちゃ。魔王とそれに仕える者たちは勝手なの。勝手に犯して、勝手に世界を形成する。アホじゃないと出来ない。
少女は胸を張った。
楽しい方が長続きするし、自分は好きだと語る。
「……一応、阿呆では出来ない、気の利かせ方もあるのだがな」
アルバートがどこか拗ねたように言い放った。
もっとも、それはアルバートの芝居だと少女はわかっており、それに対抗心を燃やし、どこか芝居かかったように大袈裟に身振り手振りを行なう。
ならば自分はツイている。と、そのアホではこなせられないことを任せられる者を自分は知っている。
しかも、率先して自分の右腕となってくれる頼り甲斐のある者が――。
少女はリコダカリバーから複数の光線を出すと、それをアルバートの傍に舞わせた。
頬すれすれ、爛れた皮膚に当たるのではないかというリコダ光線――しかし、アルバートは身動き1つ取らず、しかも目を瞑り、佇んでいた。
少女はそれを信頼と取り、アルバートが動かないことを確信しながら、光線を当てないようにギリギリを放っていった。
少女は、この世界に災いをもたらすことを決めた。
それはひどく自分本位な我が儘であるが、それでも少女は、この優しいゾンビに、女性好きなライオン、地味であろうとしてなりきれない淫魔、そしてその他たちと一緒にやれば、きっと楽しめるだろう。と、小さな時分に、蟻の巣に水を流し込んだことを思い出しながら、少女は笑って見せたのである。
伝承魔王の『黄昏の門(突撃隣のあの世界)』 筆々 @koropenn
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