言葉で満たされた海という幻想的な風景が目に浮かびます。発した言葉が形になる、というのはアニメなどでも見かけますが、この短編小説はテイストが全く違います。少ない文字数ですが、結末はしっかりしていて、私は感動しました。
言葉が文字になり、それが波間に浮かぶ不思議な島。 一人海を眺める女性は、何を探しに来たのか? 時を超えて届く思いが、心に響く掌編です。
沖縄のゆったりと流れる時間を感じながら、ほんわかと心が暖かくなる優しい物語。まず、発せられた言葉が文字となって海に浮かぶ、と言う発想がとてもユニーク。そして、老人の「沖縄ことば」が良い味を出していて、あの独特な心地よい抑揚が聞こえるかのよう。沖縄のエメラルドグリーンの海を見つめながら、三線の音をバックにぼんやりと時を過ごしたくなる、そんな素敵なお話です。ぜひ、ご一読を。