第62話 リームとモリカ

「キーン。今日は何して遊ぶの?」


「モリカは何かしたいのある?」


「コマやろうよコマ!」


「コマ?どんぐりのやつ?」


「ううん。この前キーンが作ってたでしょ?あれモリカも作るの!」


「ナイフで木を削って作ったやつね。あれはだめだよ。うまく回らなかった」


「でもいいのー。わたしも作りたい!」


「うーん。じゃあ一緒に作ろうか。リームも呼んでこようか」


「お兄ちゃんはいいの!二人で作ろうよ」


「三人でやったほうが楽しいでしょ。どうせすぐリームもくるし」


「キーン。あなたってバカね。女心がわかってないの!」







「キーンこれなんてどう?」


「お?いいねぇ。薄めの色でもこんなにキレイに見えるんだね。リームなかなかいいセンスしてるね」


「でしょ。僕ももっと濃い色の方がいいと思ってたんだけど入れてみたら意外とキレイなんだよね」


「御神体の欠片を入れればすごいのができそうだな」


「うん。あとでパパに聞いてみるよ。キーンの教えてくれたこの万華鏡?これを見せればパパもママも喜んでくれると思うし。僕の宝物がこんな風に遊べるなんてすごいよ」


「でも御神体を使ったら罰当たりだって叱られないかな?」


「大丈夫だよ。落ちた葉っぱとか枝なんかはたまに売ったりしてるみたいだし、お祈りに来る人に渡したりもしてるよ?いっぱいあるからね。」


「うん。お?これも結構いいな。リームこれなんてどう?」


「ハハハ!カッコいい。ねぇキーン、モリカに自慢しにいこうよ!」







「キーン。お兄ちゃんがいじめてくる!」


「キーン。いつものウソ泣きだから無視してあっちで二人で遊ぼうよ」


「ウソ泣きじゃない!お兄ちゃんが意地悪だからなの!」


「モリカがうるさいからだろ。キーン、外であそぼう」


「お兄ちゃんが・・・お兄ちゃんが・・・モリカ悪くないもん」


「二人ともケンカすんなよ。モリカも泣いてないで一緒に遊ぼうぜ」


「やだ!モリカお兄ちゃんとは遊ばない!」


「じゃあモリカはそこにいろよ。キーン、何して遊ぶ?」


「ん?まぁもうちょっとしたらね。二人とも勉強だってあるでしょ」


「えー。まだ大丈夫だよ」


「リームもお兄ちゃんなんだから妹をあんまり泣かすなよ」


「お兄ちゃんは一人で遊んで!キーンあっちいこう」


「モリカも落ち着けよ。ほら深呼吸してさ。僕は用事があるんだ。今日は二人とは遊べないよ。ごめんな。じゃあ」







「キーン!キーン!パパが今度キーンも一緒に狩りに行こうって言ってたよ」


「え?本当に?だってそれって神官の修行のやつでしょ?だめなんじゃないの?」


「だってパパがそう言ってたー。楽しみなの!」


「そうなんだ。後でパパさんに聞いてみよう。でもみんなで行けるなら楽しみだな。リームとモリカが戦うところも見れるってことでしょ?」


「そうだよ。僕もキーンの魔法を見てみたいな。この前はパパと二人で行っちゃって見れなかったもんね」


「わたしもキーンの魔法みたいの!巡礼の人達とは違う魔法なんだもんね。パパもキーンの魔法はすごいって言ってたし早く行きたい」


「巡礼の人達?なにそれ?お祈りに来る人達のこと?近くの集落からさ」


「違うよ。遠くから遺跡にお祈りに来る人達なんだよ。いろんなところにある聖域を旅してまわってるんだって」


「いろんなお話を聞かせてくれるし、魔法も見せてくれるの」


「そんな人達がいるんだね。聖域を旅してるのかぁ」


「うん、巡礼の人はその内また来るよ。それよりキーンとの狩りが楽しみだな。今度っていつなんだろう?ママなら知ってるかな?聞きにいこうか」


「そうしよ!わたしが聞くからお兄ちゃんは静かにしてて」


「モリカはいつもうるさいからダメ。最初に聞くって言ったの僕だからね」


「またケンカするの?もういいでしょ。面倒くさいなぁ」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る