第11話 「自宅」で何ができるかな?

4歳の頃に記憶が戻って手に入れた能力「自宅」

10歳になる今まで、ほとんど放置してきたわけだが、そろそろ利用することを考えなければならない時期にきたようだ。なんとなくそう思う。


とりあえず魔法実験で貰った報酬の銀貨を入れておこう。ズボンのポケットに「自宅」を発動!銀貨は「自宅」に吸い込まれていった。


「自宅」の出入り口である黒い扉のようなものは、大きさが結構自由に変えられる。しかし「自宅」内部の縦×横より大きくはならないっぽい。今回はポケットの内側に収まるくらいのサイズで発動してみた。うん。現状はちょっと便利なサイフってことか。


利用方法は前にいくつか考えてみた。まずは緊急避難用シェルター的なもの。足元に「自宅」を発動し、そのまま落ちるようになかに入る。周りから見れば地面に吸い込まれたように見えるだろう。人はもちろん魔物なんかに襲われたときに逃げ込めるので、最高にクールな使い方だ!


ちなみに「自宅」は俺の許可がないと出入りできない。許可といっても自分自身よくわかっていないのだが、とりあえず他人が黒い扉を通過しただけは中に入れないし、出ることもできないのだ。


話を戻そう。その他の使い方としては命名通り自宅として使う。家具やベッドを入れて住む。人里離れたところで生活するならこれはとても便利。家賃ゼロだし安全だし!引越しだって自由自在!


そして荷運び。街中で、人前で魔法を披露するのは厳しいので行商人にでもなって、「自宅」につめた荷物をお手軽に運ぶ。ダミーの荷物を持つなりすれば、割と簡単にいける気がする。外は魔物の危険があるから、行商人はちょっと嫌だなと思っていたけど、危なくなったら「自宅」に避難!でどうにかなるような気もする。


とまぁこんなところか。他にも細かい使い方は考えたが、貧しい発想しか持たないため有効な利用方法は思いつかなかった。泥棒とかにも使えるけど色々危ないしね!穏やかに生きていきたいのよ僕ちゃんは!


しかしこれダークサイドの住人にはたまらない能力だろうな。例えば誰かをうまいこと「自宅」にいれてしまえば、俺の許可がない限りもう出てこれない。あとは放置すればオッケー。ぶるぶる。おそろしいなぁ。


絶対バレないように使わないと、すぐにどこかのやばい人に誘拐されそうだな。うーん。結局話しが元に戻ったぞ。今まで通り放置かぁ。少なくとも大人になるまでは封印するしかないのかな?いやもうこれ大人になったところでダメだろうな。


とりあえず今度公園の目立たない場所なんかで緊急避難の練習でもしてみますか。ネガティブに考えすぎると一生使えなくなるもんね。


さて、今日は孤児院で教室の日。びしびしいきますよー。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る