第12話 学校ってなに?

この国にも学校と呼ばれるものはある。基本的には貴族の子弟が通うものだ。一部裕福な商人の子供や、特に優秀な平民の子が通うこともあるらしい。学校を卒業した子供たちはいずれ役人になったり、騎士になったりするのだろう。その辺どうなってるのかよくわからない。一般常識として、学校というものがあるということを教わっただけだ。


うちの孤児院では院長先生のおかげで、最低限の教育はされていると思う。なんだったら他の平民、特に農民の子供なんかよりはよほどいい教育を受けているはずである。ホント院長先生ってすごいよね!


さてなんで急に学校の話なんか始めたかというと、これにはもちろん理由がある。

な、な、なんと、わたくしことキーン少年10歳が特に優秀な平民として、学校にいくことになるかもしれないというではありませんか!


どこをどうするとそんな話になるのか謎だが、形式上は町長の推薦を受けるかたちで学校の受験許可が出たのだ。うーん。わからん。というより面倒くさそうなにおいがプンプンです。出来ることなら拒否したい。しかし当然のことながら拒否はできないようだ。孤児院のガキに自由などあるはずがないのだ!


院長先生は喜んでくれている。こちらとしてもそれは嬉しい。だが待って欲しい。入学試験って?というか学校って何するとこなの?


院長先生こたえて曰く。入学試験は国語、算術、歴史の3科目。キーンの場合、学校とは文官養成学校のことを指し、そこで文官試験に合格するための勉強をする。


なるほど。文官。つまり役人か。順調にいけばエリートコースといっていいだろう。それでも面倒だ。せっかく中世ヨーロッパスタイルの世界でのほほんと自由に暮らしていこうと思っていたのに、わずか10歳で苦労みえみえのレールの上にのりたいとは思わない。まぁ孤児だからこのままいっても苦労はするだろうけどね。


そもそも入学試験の科目に歴史があるんでしょ?そんなもの知りませんぜ旦那。歴史って何?この国の歴史?それとも他の国の歴史も?いやいや無理無理。ほかの国なんて名前すら知らないし。


これは本気で試験受けても不合格間違いなしだな。これは仕方ないよね先生?え?町長の面目を潰すわけにはいかない?死ぬ気で勉強しなさいって?


俺を思ってのことなんだろうし、今までお世話になった恩もあるからもちろん頑張りますけどね。はぁ、気が重いなぁ。異世界のほほんまったりライフはいつになったらできるんだろう?

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