第5話

「……で、息子さんに飲ませたら翌日にはすっかり調子をもどしたそうです」

 アサキは嬉しそうにニュートンに報告した。

コンペン硬貨偽造硬貨は警察に届けちゃったからお金は減っちゃたけど、野菜の売上がよくて減っちゃた分はすぐ取り戻したって」

「それは良かった。きっとが来たんだね」

「ニュートンさん、もしかしてコンペン硬貨偽造硬貨の”代償”を精算する方法、知ってました?」

 ニュートンは何も言わずにニッコリとする。

「あーっ! その顔、知ってたんだぁ」

「どうかな?」

「もう! 意地悪なんだから……あっ! 今、紅茶入れますね。私、だんだん美味しい紅茶を入れるコツがだんだん分かってきたんですよ」

 アサキは、そう言ってキッチンに入った。

「ああ、私は、ちょっと出かけてくるから紅茶は、戻ってきたら飲ませてもらうよ」

 ニュートンは、コートを羽織り帽子を持つと事務所を出た。

 建物を出ると外は霧が立ち込めていた。

「今日は、霧が深いな」

 ニュートンは、そう呟くと帽子をかぶった。


 ここは霧の街。

 全てのモノが霧で覆われている。

 本当の価値も偽りの価値も

 そして探偵はそこから真実を見つけ出す……


 霧の街のニュートン探偵事務所2- 終わり


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