第287話天河あさせしら浪

寛平の御時なぬかの夜、「うへにさぶらふをのこども歌たてまつれ」とおほせられける時に人にかはりてよめる


天河

  あさせしら浪

        たどりつつ

             わたりはてねば

                    あけにぞしにける


                     紀友則 古今177


寛平、宇多天皇の御代、七月七日の夜に「殿上人は和歌を献上せよ」と、天皇より仰せがあったので、殿上人に代わって詠んだ歌。


天の川に浅瀬があるなどと知らず、白波が立っている所をたどっていたら、まだ渡り切れずに、夜があけてしまった。


※なぬかの夜:七月七日の夜。

※「しら浪」と「浅瀬があることをしらない」をかけている。


一年に一度の逢瀬、なかなか離れがたい様子を詠んだのだろうか。

すぐに向う岸についてしまう浅瀬などを渡りたくなかったのかもしれない。

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