第3話心は谷に投げ果てて

日に千たび

     心は谷に投げ果てて

              あるにもあらず

                     過ぐる我が身は


                            「前小斎院御百首」


一日に 千回も


心を谷に投げ捨てる


生きているのか そうでないのか


そんな日々が続いている



何を想って、こんな激しい歌を詠んだのか

時代の変遷や、耐え難い恋に悩んでいたのか・・・

現在は、それを説明する文献はない。

だとすると、あの世で本人に聞くしかない。


※前小斎院御百首の時代

 賀茂の斎院を病気により辞した二年後、妹の休子内親王が十五歳の若さで急逝。

 同じ日に、式子の後任の斎院僐子が十三歳で夭折。

 内大臣九条兼実は、不吉なこととして、憂うものの、平家全盛の時期が到来。

 清盛の娘徳子が、十五歳で高倉天皇(当時十一歳)の女御となる。

 その後は、一応は貴族と平家の春がしばらく続く。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る