俺はひたすら逃げる

 次の日、俺は生徒会をさぼった。

 体調が悪いと言ったが、先生はどうせ信じていない。分かった上で休ませてくれているんだろう。

 その次の日もまた次の日も休んだ。和葉が、さすがに心配なのか俺に聞いてきた。その話では、舞染も俺と同じ状況らしい。

 でも、俺は行かなかった。いや、行けなかった。

「なあ、お前どうしたんだ?」

 和葉が去ってから、快もいい加減不自然なことに気付いたのか話してきた。

「なんでもない、気にしないでくれ」

「おかしいだろ、いいから俺に話せ」

「話すことなんて何もない」

「今日、一緒に帰ろうぜ、な」

「……ああ、分かった」

 かなりしつこく誘ってくるので俺も断りきれなかった。

 授業中、和葉と快が文通を交わしていて、珍しくよろしくないことをしていたが気付かぬふりをした。小学生じゃないんだからいちいち気にする必要もないが。

 沢中は珍しく声を掛けてこなかった。ひっそりとは見ていたけど。

 空気は読めるらしい。それがもてる理由か。案外悪い奴じゃないのかもしれない。

 授業は終わり、帰ろうと廊下に出ると、大急ぎで快が走ってきた。

 そのまま俺たちは横に並んで歩いたが、一言も校内では声を交わさなかった。

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