顎
私が本当にかきたかったところ。
顎変形症というものをご存じだろうか。
先天性の骨格異常だ。いろんなパターンが存在する。
私の場合は下顎前突、簡単に言えばアントニオ猪木氏に近い。
父からの遺伝である。
父は顔に肉が多く、程度もそこまででないので目立たないのだが
私はやせ型で程度が進み、ものすごいしゃくれマンになってしまった。
発音に問題も少しだけあり、もちろん容姿も食べ方も汚いことこの上ない。
いじめの対象にもなる。
生きていくうえで不便ではないけど、いやでいやで。
でもこれはこれでアイデンティティというか、変えるのも面倒くさくて。
転機が訪れたのは高校時代の彼氏の一言だった。
矯正すればいいじゃないか。
父に何度も言われても動かなかった私が重い腰を上げた。
顎変形症だとありがたいことに、矯正も含めて保険がきくのでとても安い。
但し全身麻酔で骨切ったりなんだりするのだ、しんどかった。
手術を終えて、顎が引っ込んだ私の生活は変わった。
いじめられることもない、ポニーテールにしたって人の目は気にならない。
病気だと知られなければ整形にしか思われないけど
私のこれは確かに病気で、それを治したに過ぎない。
こういう、生きるのに支障はないけどいやだなっていうものに、
ちょっと理解が得られるといいなあと思う。
フィジカルマイノリティ 八田亜利沙 @lostmysnow
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