第5話 教導母艦ダイダラ編入 前編

赤城虎太郎は、目覚めると八畳ほどの部屋に下着姿で寝かされていた。


左右の壁にそれぞれベッドと机が備え付けられ、机の隣にはクローゼット

とロッカーが備え付けられている。


ベッドの頭側には窓がなく、反対側は格子状で通路の向かいには同様の部屋がある。

ただし、向かいの部屋はアニメのポスターなど私物が多い。

「・・・・・・牢屋かっ!!」


実際は違う事を知るのは後ほどだが部屋の第一印象は

まごうことなき牢屋であった。


クローゼットをみると張り紙がしてあり、グレンダ・グレーデンと言う知らない

上級生にロボに乗り混む前に来ていた黒い学ランではなく白い軍服を着るように

と指示書きがされていた。


だいか知らんが、先輩らしいし聞かんとまずかろ。」

一応国の軍の学校の生徒なので、余程の事がない限り上の指示には従う。


着替えた上で、居住まいを正し正座をして待つ規則違反をしたのは自覚しているので

沙汰が告げられるのを待つことにした。


待っていると、金髪をドリルの如き縦ロールにした自分と同じ軍服の

胸の大きな美少女が歩いてやってきて自分の方に向いた。


「・・・・・・赤城虎太郎君?お話しするのは初めましてね。」

虎太郎は、黙って相手の顔を見ていた美しく愛らしいと感じた。


グレンダの方は、虎太郎の真面目な表情に内心ときめきを感じた。

この時点で、互いに恋愛フラグが一つ立ったのであった。


「初めまして、私は2年生のグレンダ・グレーデン。ここは学園に属する

教導母艦の13番艦ダイダラです。」


グレンダの話を聞いて虎太郎は、概ね状況を悟った。

教導母艦は本来、早くても2年生の秋ごろの配属だ。


だが、この13番艦だけは様々な事情で実機を持つことになった

生徒達が配属される艦として知られていた。


実戦への出陣を、狙っていた虎太郎の思惑通りであった。


グレンダは虎太郎の目から、自分から飛び込んできたと感じた。

「・・・・・・その様子だと、計算づくのようですわね。

立ち上がりなさい、私があなたのバディです。」


グレンダの言葉に従い、虎太郎が立ち上がり敬礼をする。

「まずは教官兼艦長に着任の挨拶に向かいます、ようこそダイダラへ。」

グレンダが虎太郎に答礼してドアを開けた。








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