本編

第一話 始まりは突然に

・北青丘国(青丘民主主義人民共和国)―将軍様息子自室―

将軍様息子「うはwwwww俺超勝ち組wwwwwwwww」


喜び組娘「Zzz……」スピー


将軍様息子「某国将軍様の息子として生を受けた時はどうしようかと思ったけど、超勝ち組じゃんwwwwww」


将軍様息子「何もしなくても飯は出てくる、給料出る、おまけに毎晩美人を抱ける!!!」


将軍様息子「ウハウハが止まりませんわwwwwwww」


将軍様息子「党中央軍事委員会副委員長とか言われてもwww仕事内容何もありゃしませんわwwwwwwちな、俺青丘人民軍大将wwwwwww」


将軍様息子「このまま偉大なる将軍様の甘い汁を啜って生きていきますわwwwうぇwwwwうぇwwwwwwww」


内線電話「プルプルプル」


将軍様息子「ん?なんだ?こんな朝早くに俺に電話してくるなんて。初めてのことたぞ?」

――ガチャッ

将軍様息子「なんだ?」


秘書女「将軍様側近一から緊急の連絡とのことです」


将軍様息子「めんどくせ。私用だと伝えろ」


秘書女「しかし……緊急事態とのことでして………」


将軍様息子(緊急事態?んなもん、いつもは側近たちで処理しとるだろうが)


将軍様息子「わかったよ、行きゃいいんだろ、行きゃ。ったく。めんどくせぇーな」



・北青丘国―大会議室―

将軍様側近一「将軍様が昨晩夜遅く、逝去なされました」


将軍様息子「」


将軍様息子「え?マジ?」


将軍様側近二「マジです」


将軍様息子「え?どうすんの??」


側近一「とりあえず、政治的空白は埋めなくてはなりません」


将軍様息子「おっ、おう。そうだな。それで?」


側近二「計画通り、将軍様息子様に後を継いでいただいて……」


将軍様息子「……えっ?まって?計画ってなに???」


側近一「えっ……?」


将軍様息子「えっ……?」


側近二「えっ……?」


シーン―――


将軍様息子「ちょっとまって、なんで俺が悪いみたいになってんの??」


側近一「そんな事言われましても……」


側近二「将軍様息子に将軍様の後を継がせるということで国内は纏まっていたのですが……」


将軍様息子「………はぁ!?そんなん、俺聞いてないんだけど!!!??」


側近一「いや、まぁ……」


側近二「……言わなくても分かるかな、と」


将軍様息子「何!?俺が悪いの!?空気よめなかった俺のせい!!??」


側近一「党中央軍事委員会副委員長に任命された時点で気づいて下さよ……」


将軍様息子「ええええええ!!??あれ、そういう振りだったの!!??」


側近二「あと一週間で将軍様息子は将軍様になります」


将軍様息子「どうにかならんの!?ほら!!お兄ちゃん二人いるじゃん!!!」


側近一「長兄様はネズミーランドの住人になってしまいましたし……


側近二「次兄様はあんまりぱっとしませんし……」


将軍様息子「長兄はまだしも、次兄の扱い酷くない!!??」


側近一「まぁ、そんな細かいことはいいではありませんか」


側近二「なに、手を煩わせません。我々におまかせください」


将軍様息子「……お前らがそう言うなら、別にそれでいいさ。こっちに面倒事持ってくるなよ??」


側近一「ははっ。その点はご安心を」


側近二「偉大なる将軍様!!青丘人民共和国にバンザイ!!!」


側近一「将軍様、バンザイ!!!」


将軍様息子「お、なんか将軍っていう響きいいな。よーし。俺、将軍頑張るぞぉー」


将軍様息子(ひゃっはー、俺勝ち組じゃん!!金・権力・女!!!異世界転生してよかったーーー!!)


・一週間後、北青丘国―第一将軍様広場―

最高人民会議常任委員長(議会議長)「後継者問題は解決した。将軍様息子は党・軍・人民の最高指導者の地位をお継ぎになられた!!」


将軍様息子→将軍様「人民諸君!!私が諸君らに提供し得るは、血と労苦と涙と汗のみである!!」


将軍様「革命は前進する!!革命は進歩する!!革命は進化する!!」


将軍様「主体思想を掲げ!明日へ向かって進撃せよ!!」


将軍様「参集せよ!!参画せよ!!」


将軍様「すべての権力を党へ!!すべての権力を軍へ!!すべての権力を人民へ!!すべての権力を指導者へ!!!」


ワーワー、パチッパチパチ


・北青丘国―控室―

青丘労働党中央軍事委員会委員他多数役職(側近一)「素晴らしい演説でした」


青丘人民共和国国防委員会副委員長他多数役職(側近二)「軍もこの演説にはニンマリです」


将軍様「はっはっはそうであろう??いやぁ、俺才能あるわぁー」


側近一「ところで、このリストなんですけど……」サッ


将軍様「ほうほう」


側近二「不遜にも将軍様の就任を妨害した不届き者です」


将軍様「なにいいいいい!!!???」


側近一「こちらにサインを」


将軍様「殺せ!!殺せ!!!処刑だ!!!!」


コンコンッ……


側近一「(ノック、だと?)……誰だ??」


側近二「(面の衛兵には誰もいれるなといったはず)……見てこよう」


ドアガチャッ


側近一(こいつか!!!なんと間が悪い!!)


側近二「これはこれは議会議長殿。一体何用でしょうか??」


議会議長「いやいや、なに。将軍様の就任祝いにと、良いお酒を持ってきたのだよ」


側近二「では、私が渡しときま――」


議会議長「――いや、いいよ。儂が渡すさ」


議会議長「将軍様息子様、将軍就任おめでとうございます」


将軍様「あぁ、苦しゅうない。そこに座り給え」


側近一&二(将軍様息子め!!余計なマネをッ!!)


議会議長「では、お言葉にお甘えして……おっと。その手に持っているのは一体何でしょうか?」


側近二「議会議長殿!!その書類は軍の管轄事項であります!!」


側近一「そっ、そうであります!!!どうか、ご容赦を!!」


議会議長「党内序列第二位で、党中央委員会政治局常務委員でもある、この儂が見てはいけない書類がこの国に存在すると。そういいうことかな??」


側近一(党中央委員会政治局常務委員兼任)「(古狸が!!)そ、それは……」


側近二(党中央委員会政治局委員兼任)「(利益調整だけでのし上がった雑魚が何を言う!!)しかし……」


将軍様(なんだ、こいつら。仲わりぃな)


将軍様「ほら。俺の将軍就任を妨害していた奴のリストだとさ」


側近一&二(あああああああああああああああああああああああああ!!!!!)


議会議長「ほう。これはこれは」


将軍様「どうした?」


議会議長「ほら、ここを見てください。将軍様」


将軍様「ん?」


【極秘】将軍息子様の将軍就任を妨害していたと思われる者一覧

・議会議長

――以下多数


将軍様「」


議会議長「言っときますけど、儂は将軍就任を妨害したりなんてしてませんよ?」


将軍様「おい、側近一、側近二。これはどういうことだ??」


側近一「議会議長の妄言です!!」


側近二「考えても見てください!!!裏切ったやつがそう簡単に自分の罪を認めるとお思いですか!!!??」


将軍様「確かに。おい、議会議長。どうなんだ?」


議会議長「可能性として考えてみてください。これは、もしかしたら側近一と側近二の謀略かもしれませんよ?」


議会議長「この機会に自らの反対派を一掃しようとしているとは、考えられませんか?」


議会議長(君側の奸め……貴様らが中華とつながっているぐらい分かってんだよ!!無能なコイツを将軍の地位につけるのに、裏でのべつ幕なしに工作しまくりやがって!!この老いぼれ、駆け引きで負けるとは一生の不覚!!!!)


将軍様「なるほど……」


将軍様「って、どっちが正解やねん!!」


側近一&二「我々を信じてください将軍様!!」

議会議長「これは謀略です!!将軍様!!」


将軍様(側近たちも議会議長の言い分も一理ある。でも、側近たちと議会議長が対立していたと仮定して……)


将軍様(結局、俺が側近たちの方に肩入れして議会議長を一掃した方がいいんじゃね?)


将軍様(ほら、二つの派閥があったら面倒じゃん。だったら一つでいいじゃん)


将軍様「うーん。議会議長さん!!死刑で!!!!」


議会議長「なっ!!!将軍様!!!!それがどのような意味を持つかお分かりですか!!!!???」


将軍様「あぁ、分かってるよ。裏切り者が世界から一人消えるんだろ??」


議会議長「(愚か者が!!!儂を殺してみろ!!!中華が大手を振って入り込んでくるぞ!!)畏れ多くも申し上げます!!側近たちは中華とつながっておるのです!!すべては……すべては仕組まれたことです!!!将軍様!!!」


将軍様「(まーた妄言を)あーはいはい。老害はさくっと死んでくれ」


側近一&二(うはwwwwwざまぁwwwwwwwwwwww)


議会議長「将軍様!!独立のチャンスなのですぞ!!??先代将軍が亡くなられた今こそ、こいつらを一掃するべきなのです!!??」


将軍様「嘘乙。どうせ出任せだろ」


議会議長「だめだ、こいつ早くなんとかしないと……」


将軍様「はい、侮辱罪ー。死刑ね」


議会議長「この老いぼれ最後の忠告だ。中華にだけは注意しろ。お前の為を思っていってるんじゃない。青丘民族の為に言っているんだ」


将軍様「はやく、コイツを連れて行け」


側近一「おいっ衛兵!!!コイツをつまみ出して処刑しろ!!!将軍様直々の命令だ!!!」


議会議長「青丘民族に幸あれ!!!独立に栄光あれ!!!」


将軍様「ああ、せいせいした。おい、肩をもんでくれ」


側近一「では、私は右肩を」


側近二「では、私は左肩を」


将軍様(しかし、独立か………なかなか魅力的な響きだな)


将軍様(どうせなら、歴史に名を残したい。それも讃えられる方で)


――!ピコーン


将軍様(そうだ。この独裁国家を民主主義国家にしよう)


将軍様(独裁者が自国を民主主義国家にするとかロマンあるな)


将軍様(むふふふ。楽しくなってきた)ニヤァ


側近一&二(邪魔者はいなくなったし、これで中華様にいっぱいお金もらえるし、権力も拡大できるし、いいことづくめだな)ニヤァ


 斯くて側近一と二の工作により、将軍様息子は将軍となる。

 また、同日。議会議長を粛清。議会議長派は壊滅する。議会議長派の壊滅により、政治バランスは大きく崩れ始める。力の空白の出現。それは新たな争いを生むこととなるのである。

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