おまけ② ボーイズトーク

「恋バナとエロバナ、どっちが良い?」

 消灯時間を過ぎると、よっしーは突然そう言った。

「エロバナ!」

 と合川。

「どっちでも良い。」

 と佑。

「俺もどっちでも……」

 俺は佑の意見をリツイートする。

「じゃあ、恋バナで」

「えぇ⁉︎ エロバナしよーやー!」

「いや、恋バナをしてたら自然とエロバナになるのが男だ」

 よっしーは名言風にドヤ顔で言う。

 じゃあ最初から「恋バナしようぜ」で良いじゃないか。

「よし。じゃあ、言い出した卓人からスタートな」

 佑はニヤッと笑い、俺と目配せしてからそう言った。

「えぇ⁉︎ 俺好きな人居ないんだけどっ⁉︎」

「じゃあ、タイプの女子」

「うーん……。清楚系? いや、うーん。わかんねぇな」

「えー⁉︎ ナイスバディの女子とちゃうの?」

「それはエロ川だけだろ」

「それは男のロマンってだけやで。別に貧乳でもええな」

「合川ってさ、咲のこと好きだろ」

 突然、佑が合川に向かって爆弾を投げつけた。合川の顔はみるみる赤くなっていく。

「なっ! な、な、な、……なんでわかったん⁉︎」

「認めるんだね」

 佑は満足そうに口角を上げた。

「……おう。てか、そういう佑も、八生の事好きなんちゃう?」

 俺は自分の事でもないのに、思わずドキッとする。

「うーん……今は違うけどね。過去に好きだった事はあるよ」

 彼は後頭部を掻きながら、「初恋の人だった」と暴露した。

「でもさ、今は別に心優の事好きな奴、この中に居るよね」

 佑はニヤッと笑う。

「……まさかっ‼︎」

 よっしーは目を見開いて、こちらに視線を向けてきた。

「「「快斗……」」」

 3人は声を揃えて言った。

「……え⁉︎ いや、そんな、」

「隠すなっ‼︎ 佑の前ではどんなに取り繕っても無駄だぞ!」

 よっしーはハッハッハ…と悪役っぽい笑い方をした。

「……俺、心優の事好きなのかな?」

「俺の目にはそう見える」

「……だとよ。まぁ、確かにそう言われてみれば? そう見えたな!」

「うん。俺にもわかったで! 快斗、演技下手やな!」

「合川も十分ヘタクソだよ」

「ピュアと言って☆」

「エロ川はエロな時点でピュアでは無いから安心しろ!」

「たくてぃー酷すぎぃ〜」

「エロ川マジキモい。やめろその声」

「たくてぃーん」

「キモいって! やめろ! ぎゃっ! やめっ……! ハハッワハハハハハッ! やめろって!」

 合川とよっしーはジャレ始めてしまった。佑は俺の真横に避難してきて、耳元でそっと呟いた。


「心優のこと、あんまり傷付けないであげてね。アイツ、恋愛に関してはちょっとトラウマあるから」


 その言葉に驚いたが、俺は、黙って頷いた。

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