ご挨拶をしましょうか。
「心優〜‼︎ 同じクラスだねっ‼︎」
彼女と㊗︎再会&同じクラスのハグを交わした。やっぱり咲っぺは可愛い。癒し系だ。
「歩の予想、当たっちゃったね」
「ね〜。歩スゴイ」
「そこ⁉︎」
3人は教室に着いてからも集まって会話を楽しんでいた。そこへ、見覚えのある男子がやって来た。
「快斗! 同じクラスだな‼︎」
「おお‼︎ よっしー‼︎」
よっしーとは、
なぜか良く会話を楽しむようになり、いつの間にか仲良くなっていた人物だ。
「おっ。八生、今年もよろしくな‼︎課題、また見せてな!」
「いやですぅ〜課題くらい自分でやって来てくださいな」
「ケ〜チ!」
「ケチじゃありません〜。正論言ってるだけだもん」
私と卓人はそうやって言い合いをしている事が多い。ほぼ日課だ。
「そういえばさ、よっしー、八生がさ〜バスケの試合、特等席で観れるっていうのに来ないって言うんだぜ。何とか言ってやってよぉ〜」
え。勧誘諦めたのかと思ってたのに。
「え⁉︎ 八生、お前正気か? 特等席だぞ! あっ‼︎ キタセンパイも間近で見れるんだぞ! こんなチャンス滅多に無いじゃん‼︎」
知らねーよ。いらねーよ。興味ねーよ。
「そんな奴いつでも間近で見れるわ」
そう口を挟んだのは咲っぺだった。
「あ、そっか。咲っぺのお兄さんだったっけ」
「うん」
「今年の代は特にイケメン勢ぞろいなワケだし? それを特等席で観れるってのはかなり価値あるぞ〜」
彼らの勧誘は止まらない。
「来なきゃ損するぞ〜‼︎」
「一生後悔するぞぉ〜」
咲っぺの方を伺うと、彼女は、仕方ない、とでも言うように頷いた。
確かに、この勧誘は首を縦に振るまで続くに違いない。
「……わかった。行くよ。咲っぺと歩も連れてくから、3人分お願いね」
「了解!」
「……ん? あいつ、誰? ……イケメンじゃん‼︎」
「よっしー、そこに食いつくなよ」
「いや、だってイケメンじゃない?」
「そうだけど……」
「あれ、心優の幼馴染でしょ?」
「えっ。咲、知ってるの?」
咲っぺのその声に卓人が反応した。
「うん。あの人、歩の双子だよ」
「あ〜。だから似てるのか」
しかし私は会話に参戦せず、佑を目で追いかけていた。なんだか、放っておけない、というか……
「視線が熱いね〜」
突然、耳元で卓人の声が聞こえた。勢いよく振り返ると、彼はニヤリと笑っていた。
「恋ですか?」
卓人よ、あんた、私がヲタだって事知ってるくせに……!
「んなこと、あるワケ無いじゃん‼︎まず、私が好きな人なんて作ると思う?」
「「あぁ、そっか」」
あれ。納得しちゃってるよ。卓人と咲っぺ。私、地味に傷付いたかも。自分で言ったけど傷ついちゃったよ?
「じゃあ、なんでそんなに気にしてんだよ。何かあったとか?」
「うーん、幼馴染で長い事ことずっと仲良くしてたのに、中学の時、周りが冷やかしてきたの。『お前ら、付き合ってるんだろ?』って。佑は、それが嫌だったみたい。それからかな、疎遠になっていっちゃって……」
私はそう説明した。
「そっか……。でも、今は別に平気なんじゃないの?」
「うん……」
私は、なるべく彼に迷惑をかけないようにと、笑顔を見せた。
その時だった。
「心優、」
佑が私の名前を呼び、近づいて来た。
「……? どうしたの? 佑」
「いや、その……」
彼は、首の後ろに手を回し、恥ずかしそうに言った。
「よろしく」
その時、私の中に何かビリビリとした電気のようなものが走った。なんだか、心が熱い。久しぶりに佑とマトモに話せた。それが嬉しかったんだ。
「うん。よろしく!」
私は、彼に笑顔で返した。彼は、小さく頷き、その場を後にした。
「ほほ〜う、全然疎遠じゃないじゃ〜ん。じ・つ・は……何てこと有ったりしてぇ‼︎」
「咲っぺ‼︎」
「はい。ごめんなさーい」
咲っぺは口を尖がらせて言った。うわぁ……可愛ええ……
「おい。心優、咲に萌えてんじゃねーよ! 家に帰ってからにしろ‼︎」
卓人のツッコミが入ってきて、私は我に返った。
「つーかさ、よっしー、八生とは去年同じクラスだったんだろ? 北野は?」
「私も同じクラスだったよーん」
「うわ。俺、ボッチじゃん」
「そだね」
「心優、ひでー」
いえ。本音が溢れただけです。
「ぶえっくしっ‼︎」
卓人のくしゃみと同時に、チャイムが鳴った。たくてぃー、グッドタイミングです。
出席順に並べられたこの席順。周りに話せる人が居ないというこの環境。駄目だ。生きていけない。咲っぺの隣には佑が居るものの、彼女にとっては話した事もない人物だ。完全に硬直していた。しかし、
このボッチ感はなんだ。この敗北感はなんだ……!
しかし、神は舞い降りた。
2-B最初のHRだというのに、担任のお爺ちゃん先生が席替えをすると言ったのだ。彼は見かけによらず、破茶滅茶な人で、一部の生徒達からは“ハチャメッT”などと呼ばれていたりする大半の人は“おじじ”と呼んでいるが。
おじじは机の下から立方体の箱を出して言った。
「クジで決めようか。テキトーに座席に番号をふっていくから、その番号の場所が君らの席だ。ほい、出席番号1番から引いていきなさい」
その言葉に、嬉しそうに教壇に向かっていく生徒達。どうせ私は余り物を引くんだ。私の後ろには、たったの2人だけ。
後ろに座った2人の左胸につけられた、記名章を見ると「湯川」「若林」と刻まれていた。ほうほう。これは…。まだ希望はあるかも知れない。
と、私が前に向き直った時だった。
「あ。24だ。よっしゃ‼︎ 1番後ろ! しかも窓側〜!」
もちろん、私にはどうでもいい話だ。
私は、軽く深呼吸をして教壇に向かった。残念ながら今のところ、
ま、別に私には関係な……
あれ。私が引いたクジには『7』という数字が。と、いう事は……?
私は黒板に書かれた座席表を見た。
「嘘でしょ……」
7番の隣には、24の数字がある。
今朝の壁ドン……いや、昨日の『一緒に登校しよう』発言から、フラグが立っていたようだ。
なんでこうなるっ……‼︎⁉︎⁇
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