第14話
「最近、さっちゃんのモデル、頑張ってるらしいぢゃん。」
休日、ユウトの家で食事の支度をしているナナミにユウトが声を掛けた。
「ああ、うん。まぁ、20分かそこらだけどね。」
あの夜以来、夜勤の時や仕事終わりなど、余裕のあるときは2、30分モデルに付き合うようになった。幸子の真剣さにナナミはこたえてあげたい気持ちにになったからだ。
「今度は俺がヤキモチ焼いちゃうなー。さっちゃんにー。」
ユウトが冗談めかして言った。
「なにそれ。ないし。ただ、頑張ってる人間ほっとけないだけだし。」
ナナミはぶっきらぼうに答えた。
「はいはい。分かってます。そこがお前が看護師たる所以だしな!」
ユウトは笑いながらナナミの頭をくしゃりとやるとリビングへと退散していった。その背中がどこか寂し気だったのが気になったが、ナナミは食事の支度を続けた。
ユウトの家で食事を共にしてからしばらく、ここのところ頻繁だったデートや連絡が極端に減った。なにか悪いことでもしたのかと不安になったが、ユウトは「また新しい課題が始まった
為、とても忙しい」と言って謝ってくれていたし、実際職場でのユウトはとても忙しそうだった。
その証拠に、職場でユウトと顔を合わせることすらほとんど無い状態だ。偶然エレベーターやナースステーションで会ってもせいぜい1分かそこら。周りの人もいるため、会えても挨拶する程度なのだ。しょうがない。この前が特別だったんだ。ナナミは自分に言い聞かせ、気丈に振舞った。
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