第4話
第2の部屋に辿り着く頃には、ミズキの服も乾いていた。さすがにゲームでその辺リアルにしたら大変だもんな。でももう少し眺めていたかっ……。
「ケイ、今余計なこと考えてなかった?」
考えてません。考えてませんからどうかそのような人を射殺すような目で見ないでくださいミズキ様。
そして第2の部屋。
そこには黒々とした大量の……大量の……。
「アリだ━━━!!」
1体1体が小型犬くらいあるのでグロい。
全員がこちらに視線を向けて。
「うわぁぁぁ!!」
口から酸を吐いてきやがった!
回避したり、オウリンの防御魔法で防ぐも、数が多すぎて捌ききれない!
結果じりじりと壁際に追い詰められ……。
「きゃっ!」
ミズキの脚に酸が当たり、煙をあがる。
装備には耐久値が設定されていて、耐久値が下がるたびに痕ができる。
酸の当たった場所からじわじわと穴が広がり、ミズキの脚が露出していく。
「くそ!」
ミズキの脚を庇うため前に立ち、剣と盾を構え防御するも、このままではジリ貧だ。耐久値が尽きれば終わりである。
「……ケイ」
ミズキが心配そうに見詰めてくるのを、俺は安心させるためににやりと笑う。
しかし、打開策は浮かばない━━。
「……ケイ、俺達に任せろや」
その声に隣を見ると、防御魔法の中、カノンが詠唱を始める。
「ライトニング・ボルテックス!!」
杖の先から稲妻が迸り、一直線にアリを焼き払う。その先には第3の部屋へ続く扉。
「走れ!」
カノンの言葉に俺は剣を納め、ミズキの手を取り駆け抜ける。後ろを振り向くとカノンとオウリンは先程と同じ場所にいた。
「俺達に任せて早く行け!」
「別に、こいつらを倒してしまっても構わんのだろう?」
二人の男気に。
「━━あぁ、遠慮はいらない。そのクソッタレどもに、痛いのをガツンと頼む」
「「そうか。ならば、期待に応えるとしよう」」
俺達は扉をくぐりぬけ、次へと進む。
「ちょっとケイ正気なの!?後衛のあの二人を置いてったら……!」
後ろから追いかけてくるミズキの言葉に、俺は立ち止まる。
「ミズキ、俺達はなんとしてでもガーターを手に入れなきゃいけないんだ。あいつらの期待に応えるためにも……」
再び走り出す俺に、ミズキは後ろを一度振り返り、振り払うように駆け出した。
その後、第3の扉に辿り着いたときには、二人のHPバーは消滅していた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます