第2話

ここは五感共有型VRMMO『レッグ・ファンタスティック・オンライン』、略してLFOと呼ばれるオンラインゲームの世界。


その名の通り、レッグウェアに関する装備が充実したゲームだ。よってレッグウェアファンの層がめちゃくちゃ厚い。


そんなゲームに遂にレッグウェアの神が降臨した。多くのレッグウェアが実装される中、今まで一度も実装されず、姿を現さなかった、野郎共の希望にして崇拝すべき神『ガースト』が!


そして今、俺達は我らが神を手にせんがため、『ガースト入手クエスト』が行われる試練の洞窟へと足を踏み入れた。


俺にはこのクエストを受けるに当たって三人の仲間がいる。


「いやぁ!マジでガースト実装とか神運営ですわぁ!」


声高に叫ぶ魔法使いのカノン。


「落ち着くんだ。落ち着いて素数を数えてガーストを思い浮かべるんだ。ほら落ち着いてくるだろはぁはぁ……」


落ち着くどころか興奮気味になる僧侶のオウリン。


「……それで?いったいどういったクエストなの?」


金の長髪にエルフ特有の尖った耳を持つミズキ。ジョブは足(脚)で戦う闘脚士。現実では俺の幼馴染であり、黒髪の大人しい少女なのだが、この世界では妙に俺に厳しい。まぁ俺にとっては新鮮でいいのだけれど。


「クエストの内容は、五つの部屋にそれぞれ試練があって、それをクリアするみたいだ」


俺は三人の前で拳を振り上げる。


「お前ら!ガーストが欲しいか!」


「「おう!!」」「いや、別に」


「ガーストを拝みたいか!」


「「おう!!」」「いや、別に」


「ガーストを女性に履かせてその肌をすべすべしたいか!」


「「おう!!」」「嫌」


「ミズキ!お願いだから協力してくれ!」


「……おぅ」


顔を背けて蚊の鳴くような声でミズキが応える。


「行くぞお前らぁぁぁ!!」


「「「おう!!!」」」


俺達は試練の洞窟へと駆け出した。




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