第6話
翌朝、週に一度通うことにしているハローワークへ行くことにした。何度通っても、自分の希望に見合った求人に出会えることなどほとんどないから妥協しながら仕事を探している。働いていた頃に貯めていた貯金が底をつき始めた今、生きていくためには何とか一日でも早く仕事を見つけなければならなかった。
ハローワークの自動ドアを抜けると、何とも言えない澱んだ空気が漂う広い空間に多くの人間が犇めいていた。ここには未来への希望が薄れつつある生気のない若い男や、生きる権利以外に何も持っていないのだろうと思わせるような中年男、限りなくホームレスに近い身なりと体臭を放っている老人、ベビーカーを通路の真ん中に置きっぱなしにしてスマートフォンを見ている頭の悪そうな若い女など、この世の底辺を這いつくばって生きているような人間が集まっていた。こんなところに定期的に通っている俺もその底辺住人の一人に含まれるのだろう。
自覚はしているが認めたくないと思う自分もいる。仕事を決めて、さっさとこのどん底から這い上がらなければならない。底辺から動きだせずにいる現状を打破したかった。這い上がったとしてもたどり着く所なんてたかが知れているのだろうが、ここよりはましな所だろうと思っている。きっと俺の居場所はそこにあるのだという希望が折れてしまいそうな心を支えていた。
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