「空に咲く花」。この句が何を表すか、それは各人が自由に想像するべきことでしょうから、私がとやかく言う権利はありません。ただ、少女がこれほどまでに「それ」を待ち望む姿からして、とても重要なものなのかな? という疑問はいまだに残ります。ゆったりとした謎ほど心地よいものはありません。
さて、内容ですが、洗練された展開、そして語句。500字以下でもこれほどのストーリーが書けるのか! と素直に驚かされました。また、神話を彷彿とさせる雰囲気が、多少の強引さによって見事に醸し出されています。
この作品に込められた独特な幻想は、読者にひとつの小宇宙を感じさせ、知らぬ間に画面に引き込むのです。