ザ・ラスト・テジナーニャ

@OjohmbonX

ザ・ラスト・テジナーニャ

 世間に忘れ去られていた。かわいらしさで売れた少年時代と、かっこよさで面目を保っていた青年時代をとうに過ぎて、中年の山上兄弟は安アパートの一室でかなしげにテレビを見つめていた。独身のまま二人で暮らしてきた。小さなテレビは地球に迫りくる巨大彗星の映像を流し続けていた。二人が視線を交わすことさえしないまま完璧に同期した

「てじなーにゃ」

を口にし手を振った瞬間、彗星は消滅した。すでに二人は事切れていた。しかし世間はこの世界がふいに救われて呆気にとられ、そして歓喜するのに忙しく、かつて日本で少し名の知れた手品師の兄弟がひっそり亡くなったことを、さりげなく無視して忘れ去ったのだった。

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