第二十八話【海の向こうからの直通電話】

 と、ここで時を少しだけ遡る。



        ◇

 まあ、アメリカ東部時間に合わせてくれたんだろうな。海の向こうから電話が掛かってきた。日本からだ。日本国首相〝エイサク・サトー〟が掛けてきた。サトーは俺が電話に出るや用件を切り出してきた。

『大統領、くどいようですがアメリカ合衆国の核の傘については、日本はあてにしていいのでしょうか?』と。

 俺の返事は即答だった。

「もちろんだ」

 サトーの要請はこれで二度目だが仕方のない事情もある。


 からだ。


 サトーによるとこの国務省のコメントを巡り日本で一騒動あったらしい。しかもまだ二騒動も三騒動もあるかの如くの雰囲気との事。

 サトーは事態に収拾をつけるため新たなコメントの発表を求めてきた。


 大事な事なので繰り返すぜ。俺は即断でOKした。期待されたのはズバリ『核の傘声明』だった。

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