第二十五話【バッシング報道】
事態を悪い方向へと引きずるのは必ずしも政治家とは限らない。事態を煽るのはメディアというケースもある。今回がそのケースだ。奴らはホワイトハウスの出した第二番目の声明が気に食わなかったのだ。
『核を使った恫喝を我々は許すことはない。アメリカ合衆国が提供する核の傘は同盟国の安全を保障する』という声明がな。
アメリカ国内で特に影響力を持つとされる四大紙の紙面がそろって同じ論調で埋め尽くされている。
内容は〝日本バッシング〟。
[自らの外交能力の欠如を顧みず自国の領土問題でアメリカ国民を核戦争に巻き込もうとする悪い奴]という趣旨だな。俺の意訳だけど。間違っちゃいない。
こうした報道が始まり、そして執拗に繰り返され続け、じきに下院議員の連中までもが、うわああぁぁぁ〜ん! と映画館の中のような大音響で日本攻撃を始めた。オイ、〝ワシントンの政治家的模範解答〟は何処へいった?
「国務長官の奴め、確実に何かをやらかしたな……」俺は呻くように言った。
傍らの補佐官がそうした俺の呟きに応えた。
「確かに。しかしあの人はマッチを一本擦っただけです」
「俺を相手に比喩はほどほどにな」
「爆発を起こすような引火物は元々そこにあったってことですよ」
核兵器をいったいどうしたいんだ? 政治家もマスコミも。それともコイツらは日本人が嫌いなだけか?
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