第十九話【エイサク・サトー考】

 俺はアメリカ合衆国大統領だ。唯一無二の存在でアメリカ国内に比較の対象は存在しない。凡百の連中には分からない。俺の比較の対象は国外にある。外国の政治家、それもトップの政治家が比較の対象だ。どちらが政治家として一国の指導者として優れているか、能力を比べてしまう。俺は自身を海外のありとあらゆる対象と比較する。エイサク・サトーもその中の一人だ。もちろん合衆国と条件の同じ国など無いことくらい先刻承知だ。だがそれでも俺は比較する。


 〝エイサク・サトー〟。もはや奴にウラからの圧力は効かない。今までの日本には無いタイプだ。奴とは公開された場でやり合う他ない。


 今回の核兵器を使った恫喝問題はオープンな場でやり取りし、決着させるほかない。

 既に日本に送った特使から俺は報告を受けていた。

 俺はあの報告を思い出す……

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