第十六話【修正の修正! 合衆国の見解(3番目)】

 『北朝鮮に対し、合衆国は核を含むあらゆる手段で反撃する。また合衆国は北東アジア地域の緊張を高めるあらゆる国のあらゆる言動を支持しない』

 以上がその問題の〝北朝鮮しか非難していない〟という新たなるメッセージだった。日本政府は自国を取り巻く核兵器問題についてアメリカ合衆国の力強い声明を求めていたのだが……

 彼らが期待していたのは要するに〝核の傘〟だってのは内々にこちらに伝えられていたのだが、それがこの程度だったってことだ。


 この〝北朝鮮しか非難していない〟というメッセージについて、どこかで聞いたことがあるフレーズだな、と気付いた者も少なくないだろう。この〝北東アジア地域の緊張を高めるあらゆる国のあらゆる言動を支持しない〟ってのはな。俺でも「あれか」、とピンときたくらいだ。

 もちろんロシアや中国が常套句として使うのと同じことを言っている。この部分、一番最初に出した国務省のメッセージと同じ意味に戻っているのだった。

 ちなみに『北朝鮮だけは名指しで非難してやっただろ!』というのが国務省の言い分であるらしい。ここが新たなるメッセージの〝新たなる〟と言えるトコかもしれない……


 ハッキリさせておかないといけないのは北朝鮮もロシアも中国も同じような言動をしていたってことだ。

 核兵器の存在を使った恫喝をこの三カ国はしていた。


 なのになんでこういう国名による格差を付けるような声明が出たのか? 合衆国内でいろいろ紆余曲折があった……

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