第43話 少しの贅沢

病棟にはレストランがある。

そこでゆっくりとレモンティーを飲むのが、最近自分にとって贅沢になりつつある。


コンビニより高いけれど、やっばりレストランだと空気が違う。和らぐのだ。


のんびりと小説を書いたり。

下書きをネット上にアップしたり。


そこには自由の香りがある。


どこに居ても誰と居ても寂しいという人がいる。


荒療治にはなるが、閉鎖病棟に入ると、本当の意味で独りぼっち(隔離ともいう)にされるので、孤独と共に今までも、そしてこれからも、傍にいてくれる人の優しさが沁みてくる。

(有り難みが、わかる、とも言う)


そして自由がひどく恋しくなる。

同時に今まで付いていると思い込んでいた手枷や足枷(それは社会的な圧力かもしれないし、頑張らないといけないという、プレッシャーかもしれない)が、外れていく。


少なくとも私はそうだった。


そして、断る勇気、というものも湧いてくるようになった。4回目の入院にして、やっと。かも、しれない。


あなたの身体はあなたしか守れない。

でも、あなたは一人じゃない。


大切な人を泣かす前に出来ることはあるはずだ。


入院は、最低の手段ではない。

最低の手段は、命を投げ出すこと。

人生を諦めてしまうこと。


病名がついたっていい。

薬を飲んだっていい。

あなたが生きているだけで、救われる人がいる。

(多分、一番は家族だ)


そんなことないと絶望塗れの貴方は思うかもしれない。


でも出来れば、最後の手段として、心療内科や、精神科、神経科のドアを叩くという手もあるのだと、頭の片隅に置いておいて欲しいのだ。

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