第7話 君、言葉ー蓮司sideー
「失礼します。」
「あらぁ、瀬戸君どうしたの?」
すぐに先生は、俺の後ろに隠れていた小谷に気づき、毛布を出した。
「小谷さん、どうかした?」
『・・・ズッ。』
俺が、・・・話さないほうがいいか。だって、小谷の言葉はちゃんと人に伝わるのだから。
「伝えられそうだったら、この紙に書いてちょうだい。」
コクン。
小谷は、ゆっくりとペンを持った。
・・・大丈夫だ、と思い保健室を出た。
しかし、教室に戻る気が起きず屋上へと向かった。
ギー・・・
「ここの扉、変な音するな。」
俺は、寝転がって小谷の言葉を思い返していた。
昨日、黒板に書いたとき、小谷は‘‘僕”を一人称として使っていた。そのことが、ある人と重なった。
マドレーヌも作詞するとき一人称として‘‘僕”を使う。しかし、マドレーヌは女だ。歌ってみたを聞くと、女声だ。確かマドレーヌは、‘‘僕”のほうがかわいくなるし、時にはカッコよくもなるからって言ってた気がする。
昨日の言葉も‘‘私”に変えてみると、なぜか現実味が増した。
「・・・いや、そんなわけないか。」
なぜか、小谷の言葉は力がある。伝える力。
誰にでも伝わるのじゃないか・・・。
そんな言葉を君は、どんな声で伝えるのだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます