第7話 君、言葉ー蓮司sideー

「失礼します。」


「あらぁ、瀬戸君どうしたの?」


すぐに先生は、俺の後ろに隠れていた小谷に気づき、毛布を出した。


「小谷さん、どうかした?」


『・・・ズッ。』


俺が、・・・話さないほうがいいか。だって、小谷の言葉はちゃんと人に伝わるのだから。


「伝えられそうだったら、この紙に書いてちょうだい。」


コクン。


小谷は、ゆっくりとペンを持った。


・・・大丈夫だ、と思い保健室を出た。


しかし、教室に戻る気が起きず屋上へと向かった。


ギー・・・


「ここの扉、変な音するな。」


俺は、寝転がって小谷の言葉を思い返していた。


昨日、黒板に書いたとき、小谷は‘‘僕”を一人称として使っていた。そのことが、ある人と重なった。


マドレーヌも作詞するとき一人称として‘‘僕”を使う。しかし、マドレーヌは女だ。歌ってみたを聞くと、女声だ。確かマドレーヌは、‘‘僕”のほうがかわいくなるし、時にはカッコよくもなるからって言ってた気がする。


昨日の言葉も‘‘私”に変えてみると、なぜか現実味が増した。


「・・・いや、そんなわけないか。」




なぜか、小谷の言葉は力がある。伝える力。


誰にでも伝わるのじゃないか・・・。


そんな言葉を君は、どんな声で伝えるのだろう。

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