第5話 闘いー蓮司side-
次の日ーーー
「ふわぁ・・・。」
眠い。今日は、寝坊してないから、睡眠時間が足りない。
布団が恋しい・・・。
ん?あの後姿は、小谷?
「おはよ。いつもより遅くね?」
『掃除さぼったこと怒られたら…って思ったら、怖くなって、家から出たくなくなって、遅れたの。』
「プッ!!なんか、退学になるみてー(笑)。安心しろ。退学になんてならないから(笑)。」
何でだろう。俺は、普段喋るのが嫌いだ。だけど、小谷との世間話は、すげぇ楽しい。
もう学校に着いちまった。
ガラガラ
『おはよー!』
小谷は、いつものように口パクで挨拶する。
「おはよー、ねぇ、まどかちゃん。何で瀬戸君と一緒なの?」
『駅で会ったの。』
そのまま、小谷は何人かの女子たちと話していた。
「おはよう。席ついてー、出席とるわよー!」
出席を取り終えると、
「ねぇ、昨日掃除した?なんか、黒板汚いし、机だってバラバラだし。」
いきなり、バレたか。
隣を見ると、今にも倒れそうな感じの青白い顔した小谷。
「昨日の教室掃除、立ちなさい。」
あの4人組は、立つやいなや、
「私は、用事があったから抜けたんです!!」と、口々と言い始めた。
「もう、わかったわよ!・・・それで、小谷さんは?」
小谷は、震える手でホワイトボードに『さぼりました。』と書いた。
正直者だな・・・。
「どうしてさぼったの?」
守ってやりたい・・・。
「・・・小谷だけじゃないだろ。」
「瀬戸君、何か言った?」
「あいつら4人が本当に用事があったと思ってんの?だったら、あんた救いようのないバカだな。」
「だから、先生をあんたと呼ぶんじゃない!!・・・そう思ってるわよ。」
「思ってるんじゃなくて、信じたいだけだろ。お前は、何に怯えてるんだ?こいつらの親か?こいつらの親からなんか言われるのを怖がってるんだろ。」
「・・・。」
ほらな。
「図星。・・・どうだった?二日も掃除さぼって遊んで楽しかったか。二日目は、小谷断ろうとしてたよな?それをお前らは。ホワイトボードに書こうとした小谷の右手を掴んで断れなくした。・・・俺、見てたんだ。」
見てたんだ。小谷が戦ってるところを。負けたけど、進もうとする小谷を見てたんだ。
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