第3章-06 ジャッジメント・デイ

 だが……ロンドは死ななかった。

 それどころかあの直後に行われた手術は奇跡的な大成功をおさめた。術後、彼女の体力はみるみる回復し、ロンドは一か月もしないうちに立って歩けるようになった。体重はすっかり元に戻り、ほっぺもすっかり以前のつやつやぷにぷにの状態へと復元した。

 って、おい。


「いやあ、よかった。よかった」

 ロンドの執事さんとメイドさん―――いや、もう他人行儀な呼び方はやめて松岡まつおかさんとJJジェイジェイと呼ぶべきだろう。彼らは抱き合って喜び、ぼくもその仲間に加わることになった。

「ありがとうございます! これもすべて獅堂しどう様のお力添えの賜物たまものですわ」

「彼女の申すとおりでございます。まさかお嬢様がここまでご快復なさるとは……。うう。ログ様にはお礼の申し上げようもありません」

 ぼくは……むろんうれしかったさ。でも予想をはるかに上回るこの子の快復っぷりに、ちょっぴりとまどったのも事実だ。なにせぼくはずっと手術は難しいだろうという先生の言葉を真に受けて、密かに心の準備までしていたからな。つーか、この件に関して一番気の毒な役回りはこの主治医の先生でまちがいない。なにしろもう手の施しようのないと思われていた重病人がわずか一月ですっかり回復し、病院の中芝で元気にサッカーボールを追いかけ回すくらいになってしまったのだから。ロンドは会うごとに血色がよくなり、今では見た目はもう普通の女の子と変わらないくらいになった。もっとも、細かなリハビリはまだ少し残ってはいたけれど。

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