第6話−2
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X月XX日 日曜日
今日はマキと喧嘩になった。
お父さんの事をあんなに悪く言うのはどうかと思うけど、あたしもどうしてか熱く反論していた。
どうしてあんなに怒ったんだろう。
あたしが良いお父さんに巡り会えたのは、とてもラッキーだったと思う。
下手をすると、ずっとお父さんがいなかったかもしれないのだから。
お母さんも好きだけど、今はもう、お父さんのいない生活なんて考えたくない。
マキも、自分のお父さんとちゃんと仲良く出来たらいいのに。
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「意外と強情ねー」
そう言いながら笑うマキの顔は、どことなく苦笑いにも見えた。
「ああ、でも、バイオリン弾いてる時は、普段からは想像出来ないくらい激しい事もあったな。ひょっとして、心の奥ではかなり情熱的だったりするのかも」
「あと、これ読んだ感じ、お父さんにかなりべったりよね。これも意外だったわ。レイナって、甘えん坊なイメージは全然ないよね?」
「うん、あたしもちょっと意外。この前レイナのお父さんと会った時は、べったりな雰囲気には見えなかったし」
マキは日記の他のページに目を通している。
「とにかく、吉川さんが中村さんを恨んでいなかった事が、しっかり確認出来ましたね」
「そうね。他のところに、仲直りしたいけどどう言ったら良いのか分からない、って書いてあったし。間違いないと思う」
「でもやっぱり、どうしてレイナが幽霊になって出てくるのかは、分からない?」
マキは答えない。何やら、真剣な顔をしている。日記をじっくり読んでいるようだった。
「……うん、それはやっぱり、分からない。普通に日記に書くような事しか書いてない」
マキはパタンと日記を閉じた。
「あまり長居するわけにもいかないし、そろそろ帰ろっか」
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