第2話 宵闇
「・・・なんだこれは」
宿泊車両というからには少なくとも大きなキャンピングカーだと思っていたが――
予想を僅かに外れてくるあたり計画的犯行なのだろう。
俺の目の前には黒い1BOXが30台ほど駐車されていた。内5台は戦場でのサポート用だろう。バグガードや武装、追加装甲が見える。
「――TOYOTA製2010年式、CBA-TRH219W ハイエースワゴンGL。エンジンは2TR-FE、総排気量2693ccで4WDよ!!」
「聞いてねぇよ!俺が車のスペック聞いてどうすんだよ!!」
どっから湧いてきたコイツ。
なんでまだこいつ居るんだよ
さっきまで向こうのテントで何かやってたろうが
「あら?明日からあなたも運転するから知っといたほうがいいかなーって思って♪あ、あと後部座席はフルフラットでベットになるようになってるから♪」
「知るか!・・・ったくどんな集d・・・おい、今なんつった?」
「ん?明日からアンタもドライバーよ。ほれ鍵。無くさないでね♪」
扱い雑だな・・・最初の仕事は車の運転か・・・
この大所帯ごと移動する時点で敵にさらして歩いてるような気がするんだが・・・
まぁいいや。とりあえず疲れた体を休めるとしよう。
荷物を置いて後部座席で横になる。これでゆっくり休める・・・
「ちょっと?何やってるの?まだ仕事教えてないんだけど?」
ゴンゴンと窓を叩く音で一向に寝られない・・・
休ませてくれ・・・
・・・ああああああああうるさい!
「なんだ!仕事って運転だろ!?そんくらいできるわ!!」
「・・・アンタまさか、自分の仕事がそれだけだとでも?」
「他にもあるのか?」
「あったりまえでしょう!?何バカなこと言ってるの!?アンタには
NF?ああ、聞いたことある。確か、臨海科学研究都市機構とかいう会社が作った
高機動装甲モジュールだったな。フラッグシップ機は"零"とかいう機体だったか・・・
「なら今から教えてくれ。それの使い方を。」
「言われなくても教えてあげるわ。付いて来て。」
そういうと後ろも見ずに歩き始めやがった。
俺がついてきているかも確認をしなかったのだが・・・まあいいだろう。
それでも時折ちゃんと後ろは振り返るようで、俺が少しでもペースを落とすと
"ほら!さっさと付いてくる!!"と催促してくる始末。やれやれだ
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「ここがNFを格納するトレーラーよ。戦闘用トレーラーなんだけど、コンテナ自体が完全なドックになってるから整備から発着まですべてこなせるわ」
そこには数台の超大型トレーラーがあった。
全長にして十数mはあるだろう。足回りはタイヤの代わりにホバーが装備されている他、外装にはアンテナやランプ類が大量に装備されている。まさに万全の装備だ。
中に入ると分かるが、凄まじく広いコンテナにはNFに関する装備が至る所に配置してある。武器に補助パーツ、各種計器に
「――で、この足元にも秘密があるのよ」
そういって指差した足元にはレールと不思議な模様のようなものが伸びていた。
レールを辿るとコンテナの最深部に青と白が特徴的な機体が配置してある。NFだ。
つまりこれは――
「・・・カタパルト」
「そう。最高速度110km/h、超電磁誘導パルスシステムを利用して加速するから最高速度まで僅か0.3秒よ。その為に大容量コンデンサをトレーラー中央部に搭載しているわ。」
「そんなに速いスピードで!?人体には・・・」
「大丈夫よ。NFにはセンサー式のショックアブソーバが216本も搭載されてるんだから。Gによる人体影響も極限まで抑えられているわ。」
なるほど。即時発進できる電磁式カタパルトを採用し、その影響を受けるNFにはG対策としてショックアブソーバを大量搭載する・・・無理やりな気はするがパイロットのことは考えられているようだ。
「以上で説明は終わり。何か質問はー?」
あの後も機体や操作システムについての説明を受けた。
操作に関しては実際使ってみなければわからないんだが・・・
まあ、なんとかなるだろう。
「いや、特にはないな。それより早く寝たい」
「ちょ!?ここまで説明してあげたお礼とかないの?」
「はいはい。ありがとう。大体のことはわかったよ マリーちゃん」
トレーラーから降りるときに飛び蹴りを喰らい、さらに馬乗りで殴られたのは
言うまでもない。
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