第4話
ラジオから音楽が流れて、誰かの声がする。
『……今聞いてもらったのが、今日ゲストに来てくれた和田君たちのラジオドラマです。……しっかしすげえなあ! 君ら本当に大学生? 売り込むために身分詐称でもしてんじゃない?』
『そ、そんなことないです……』
『いいねえ反応が
『あ、あははは……』
声のトーンから、和田君という男の困っている姿が目に浮かんだ。からかう声は、さっきの知らないパーソナリティのものだった。
『でも本当にすごいね。話の展開もラジオっていうのをしっかり意識してて、演技もスゴイ! みんなスゴイんだけど、俺特に、ヒロインの人の演技が、すごく切実っていうか、目の前で呼びかけられてるように感じちゃって、ジーンとした!』
『ありがとうございます。実はこの作品、ヒロインを演じてくれた女性の実体験から膨らませて作った話なんです』
『お! もっと詳しく聞かせて!』
『はい。うちの班では、その作品を作る時に、どんな作品を作りたいか、班員との話し合いで決めます』
『あー、和田君が全部1人で話考えるわけじゃないんだね』
『僕1人だと、どうしても話の内容が偏ってしまうので……もちろんどんな話にするか最終的に決めるのは僕なんですけど、1人でやるよりもみんなでやった方がおもしろい作品ができますね』
『で、今回は初恋をテーマにしたいって話になったんだ』
『はい』
『しっかしこの女の子、ロマンチックな初恋してるねえ』
『……このエピソードを聞いた時、班員全員、悶えてましたね』
『うわあ! その様子見たかったなあ! でもすごいねこの子、よく言う気になったね。あとで冷やかしとかすごいんじゃない?』
『彼女、うちのサークルの部員じゃなくて』
『あ、そうなの?』
『はい。時々、プロで活躍されてる役者さんにもお願いして、作品制作に参加してもらっているんです。今回ヒロインを演じてくれた彼女も、プロの方なんです』
『なるほどなあ! 実体験プラス技術で、真に迫ってるわけだ!』
『収録が終わった後、みんな呆然としてしまって……同世代のすごい演技を近くで見て、「俺たちって、まだまだなんだ」って思い知らされたみたいで。班員も僕も、いい刺激をもらえました』
そこから先の話は、よく覚えていない。
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