第20話
4時間目が終わり、僕は走って職員室に寄り、体育館裏に向かった。が、僕が着くと、妹の姿はまだなかった。あと10分経っても来なかったら探しに行く。そう決めて、僕は待った。
しかし、それからすぐして体操服姿の妹が来た。どうやら、 授業が終わってそのまま来てくれたらしい。
「...何?話って」
「.........こ、ここじゃ...あ、あれだから......」
僕は倉庫の鍵を開け、妹に入るように手で示す。何も言わず、妹はゆっくりと中に入っていった。
その背中を見て、自分の中での罪悪感は沸々と沸いてくる。それをかき消すかのように、勢いよく扉を閉めた。そして、鍵をかけた。
『ちょ!これどういう事⁉』
怒る妹の声と、激しく扉を叩く音が中から聞こえる。それらに僕の心は大分抉られた。それでも僕は耳を塞ぎ、その場を立ち去った。
「ごめんなさい...少しだけ、我慢して...」
誰にも届くことのないその声を、僕はたまらず呟いた。
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