第17話
その翌日の4時限目の体育の前。
グラウンドに集合のため、靴に履き替えようと、下駄箱を開けた。
「ん...?」
靴の上に2つ折りにされた紙が置かれていた。私はそれを手に取り、広げて内容を見る。
≪体育の授業が終わったら、体育館裏に来て
。話があります。 木部和志≫
思いもよらぬ兄からの呼び出しに、頭の中は混乱する。
「ちょ、それ告白じゃない⁉」
「えっ...⁉」
気が付けば、後ろから千春が身を乗り出して、中身を見ていた。人の恋バナが好物の千春は、興奮してるようだった。
「いやいや、あり得ないでしょ」
「何でー?」
「だって...」
だって私達は、兄妹だから。そう言おうとして止めた。
「だって...
誰が私なんかに恋するわけ?」
無難な答えを返した。
「芽依だって努力すればモテるんだよ。顔は可愛いんだし」
「あーはいはい」
千春の言葉を流し、私はさっさと外へと出た。
「あ、待ってよ!芽依!」
私の後ろを走って追いかけてくる千春。追い付くと、勢いよく飛び付くように腕を組んできた。
「んで?告白の返事は?」
「ありえない」
「うわっ、芽依厳しー」
「あ、いや...そういう意味じゃなくて......」
告白のこのくだりは、授業が始まって、先生の甲高いホイッスルが鳴り響くまで続いた。
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